2018年4月25日水曜日

韓国自動車産業が崖っぷち 「ビジネスモデル」崩壊危機

韓国メディアの間で「自動車産業崖っぷち説」が騒がしい。直近の韓国国内の自動車生産台数がメキシコに逆転されたうえ、業界を牽引(けんいん)してきた現代(ヒュンダイ)自動車の勢いはじり貧だ。国内における圧倒的なシェアを背景にした現代自のビジネスモデルが、国内外の経済環境の急変により崩壊の危機にさらされているからだ。
 
東亜日報は3月13日の配信記事で、「韓国自動車産業に赤信号がともった」と切り出し、1~2月の韓国内自動車生産台数が前年同期比5.5%減の59万9346台となり、前年世界7位のメキシコを約3万3000台下回ったと報じた。韓国は自動車生産台数上位10カ国の中で唯一、2016、17年の2年連続で前年実績を下回っている。一時は中国、米国、日本、ドイツに続く世界5位まで上り詰めた韓国だが、16年にインドに追い越され、このままではメキシコに競り負けて7位に転落する可能性がでてきた。

韓国自動車産業協会幹部は「慢性的な高コスト、低効率構造を改善しなければ、主要自動車生産国の中で韓国だけが唯一墜落しかねない」と憂慮する。

聯合ニュースは2月13日、現代自と傘下の起亜自動車の国内生産に占める割合が昨年末に44.0%となり、06年の73.3%から大幅に減ったと報じた。「国内での生産性やコスト面で競争力を失った」と指摘する。

中央日報も昨年10月11日、「韓国自動車産業が崖っぷちに立っている」と伝え、その理由として高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を契機とした中韓関係の悪化や、米韓自由貿易協定(FTA)再交渉、労使問題などの悪材料を挙げた。

17年の現代自の中国における販売台数は、前年比27.9%の大幅減。現代自の同年1~12月期連結決算では、本業のもうけを示す営業利益が前期比12%減と5年連続の減益となった。

韓国メディアが危惧するのは、業界を支えてきた現代自のビジネスモデルが崩壊しかけていることだ。

「安かろう、悪かろう」などと揶揄(やゆ)されてきた現代自の00年代の躍進を支えたのは、新興国市場での現地生産の拡大だった。

1990年代後半以降、トルコ、インド、中国、ロシア、ブラジルなどで相次いで工場を稼働。(1)中間所得層に手が届きやすい小型車の投入(2)現地のニーズに合った車を販売(3)「安くて品質の良い車」というブランドイメージの確立-など次々と施策を打った。

海外での積極展開を可能にしたのは、韓国国内での圧倒的な強さだった。起亜自と合わせて約7割のシェアを占める価格支配力で利益を確保し、それを研究開発や海外事業に振り向けることができたからだ。

こうしたビジネスモデルは、韓国内における輸入車のシェア上昇や、度重なる労働組合のストライキに伴う人件費高騰、ウォン高・円安傾向など、さまざまな要因が重なって競争力を失いつつある。

現在、トランプ米政権が自国の自動車産業を保護するために輸入自動車の排ガス基準などの非関税障害を高める案を模索している。現代・起亜自は、米国販売の車両の半分以上を韓国工場で生産しており、影響は必至だ。さらに、米大手ヘッジファンド、エリオットが4月3日、10億ドル(約1070億円)以上の現代自、起亜自株を取得したと公表。現代自グループの組織構造などを問題視しているとされる。“もう言う株主”の今後の動向によっては現代自への悪影響は避けられず、韓国経済に甚大な打撃を与えかねない。
産経ニュースより

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