2018年4月2日月曜日

「妥結した」という韓米FTA…米国側から次々と「違う声」

事実上妥結したと考えられていた韓米自由貿易協定(FTA)改定交渉に異常気流が流れている。米国が韓米FTA改定に関連し、繰り返し「違う声」を出している。

先月26日、金鉉宗(キム・ヒョンジョン)産業通商資源部通商交渉本部長は交渉妥結を発表し、「農業分野の『レッドライン』を守った」と述べた。農業市場を追加で開放しなかったと強調した。しかし米通商代表部(USTR)は先月30日(現地時間)、「国別貿易障壁報告書」を通じて「現在輸入が禁止された(米国産の)リンゴとナシについて(韓国)市場接近を要請した」とし「これら果物の輸入許可のために韓国に圧力を加え続ける」と明らかにした。これに先立ちサンダース米大統領報道官は「(韓米FTA改定交渉で)農業分野でも進展があった」と述べた。米国政府が韓国農業市場の開放に関心を持っていることを表している。

これだけではない。トランプ米大統領は先月29日(現地時間)、オハイオ州で演説し、韓米FTA改定交渉について「北朝鮮との交渉が妥結した後に先送りする可能性もある」と述べた。韓国政府はこの発言の真意を把握している。チョン・インギョ仁荷大対外副総長は「韓米FTA改定問題を朝米対話と連係し、『韓国政府が一定の役割を果たしてほしい』というメッセージを与えた」という見方を示した。

韓米FTA改定交渉に連係して為替レート関連の合意があったという米国側の主張も論議を呼んでいる。USTRは資料「米国の新しい貿易政策と国家安保のための韓国政府との交渉成果」で「(米財務省と韓国企画財政部が交渉を通じて)競争的な通貨切り下げと為替操作を禁止する確固たる条項に関する合意(了解覚書)を終えている」と明らかにした。これに対し韓国政府は「韓米FTA改定交渉と為替協議は別」とし「為替政策の方向性に関する合意もなかった」と積極的に反論した。

米国が北朝鮮問題や為替レートを韓米FTAと結びつけようとする姿と関連し、韓国政府が「シャンパンをあまりにも早く開けた」という指摘が出ている。米国の「連係戦略」は十分に予測可能だったが、これに対応せず交渉の結果を自画自賛したということだ。

金鉉宗本部長は先月26日、韓米FTA改定および鉄鋼関税関連交渉に関する記者会見をし、「引けを取らない交渉だった」と述べた。米国に自動車市場などを追加開放するなど一部の譲歩があったが、鉄鋼関税免除国の地位を確保するなど満足できる交渉だったという自評の意味が込められた。青瓦台(チョンワデ、大統領府)も同じだった。青瓦台の尹永燦(ユン・ヨンチャン)国民疎通首席秘書官は「厳しく交渉をしたという話を聞いた」と述べ、交渉結果を好評した。

チェ・ビョンイル梨花女子大国際大学院教授は「(政府が)交渉を終えて武勇談を語った」とし「最悪を避けた次悪を選択したのであり、次善ではなく最初から最後まで主導権を握られた交渉」と評価した。双方が韓米FTA関連の原則的な妥結を宣言しただけで最終署名はしていないだけに、最後まで緊張を緩めてはいけないというのが専門家の声だ。

両国通商長官の共同宣言文は出たが、改定協定文の作成と最終署名、両国国会の同意など韓米FTA改定が終わるまでの過程がまだ残っているからだ。

アン・セヨン成均館大国際交渉専攻特任教授は「トランプ米大統領の今までの姿をみると、外交・安保、為替問題などを通商政策と結びつける動きは今後も続くだろう」とし「特に北の非核化交渉過程で韓米間に隔たりがある場合、残りの韓米FTA改定手続きにも影響を及ぼすだけに、通商当局をはじめとする政府は戦略的な準備をする必要がある」と述べた。中央日報より

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