2018年1月4日木曜日

安倍首相、特別インタビューで語った北の脅威 慰安婦問題など

安倍晋三首相(自民党総裁)が「激動の2017年」の最後に、夕刊フジの独占インタビューに応じた。「核・ミサイル開発」を強行する金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長率いる北朝鮮の脅威と、国民と国家を守るための日本の防衛体制、日米同盟を深化させたドナルド・トランプ米大統領との信頼の絆、現実に対応する憲法改正への決意、先の衆院選の総括、「モリカケ問題」への対応、18年の展望など、一気に語った。

17年の世相を表す漢字は「北」だった。国民は、北朝鮮の脅威を深刻に受け止めている
「北朝鮮は1993年、NPT(核拡散防止条約)から脱退し、『ソウルを火の海にする』と脅した。この核危機は、カーター元米大統領の電撃訪朝で収束したが、北朝鮮は『核開発を放棄する』という約束を裏切った。2005年の6者会合の合意も裏切った。

国際社会は、北朝鮮の『核・ミサイルを完成させる』という、強い意志と技術力を低く見積もってきた。今まさに北朝鮮の脅威が顕在化している」

大丈夫なのか

「北朝鮮は17年11月、日本海にミサイルを撃ち込んだ。ICBM(大陸間弾道ミサイル)技術の完成には議論があるが、ロフテッド軌道で高度4000キロ以上、約1000キロ飛行したのは事実だ。広島の10倍の威力を持つ核実験も行った。いかなる挑発行動にも屈することなく、毅然とした外交を展開し、国際社会が結束して、北朝鮮への圧力を最大限に高める必要がある」

北朝鮮は、日本全土を射程に入れた弾道ミサイル「ノドン」を数百発配備している。
「ノドンの脅威は、2年前の平和安全法制(安全保障法制)の国会審議でも繰り返し訴えた。日米両国で協力して対応する必要があるが、ミサイル警戒にあたる米イージス艦が攻撃を受けても、自衛隊には守る能力があるのに、守ることができなかった。同盟の根幹に関わる大問題だった。同法制の整備で、日米同盟の絆は強固になった」

「日本の防衛力強化も進めている。弾道ミサイル対応のイージス艦を4隻から8隻に増強中だ。地上配備型の迎撃システム『イージス・アショア』の導入で、防衛能力の抜本的向上も図っていく。国民の安全確保に万全を期したい」

同盟関係は、首脳同士の信頼関係も重要だ。トランプ氏は米メディアで酷評されている
「彼は信頼できる人物だ。メディアが伝える人物像とは、かなり違う。大統領選直後の16年11月、ニューヨークの『トランプタワー』で会談したとき、トランプ氏は真摯(しんし)に私の話を聞いてくれた。翌年2月に訪米した際、北朝鮮が弾道ミサイルを発射した。トランプ氏はすぐ、『日本と米国は100%ともにある』と言ってくれた。ゴルフ場の従業員を、気さくにファーストネームで呼んでいたのも印象的だった」

国民と国を守るためには、日本国憲法の改正もタブーではない

「憲法の『国民主権』『基本的人権の尊重』『平和主義』という基本理念は変わらない。

そのうえで、国の未来、理想の姿を語る憲法のあり方を論じるべきだ。17年は憲法施行から70年。私は同年5月、あえて議論の活性化を図る一石を投じた。スケジュールありきではない。具体的検討は党に任せている」

一部の野党やメディアは、いまだに「憲法改正反対」「平和安全法制廃止」を掲げている
「吉田茂首相が1951年、サンフランシスコ平和条約締結で独立回復を目指したとき、反対派は『単独講和ではなく全面講和だ』と攻撃した。条約は日本と48カ国が署名した。単独講和ではなかった。60年の日米安保条約改定でも、『また戦争への道を歩むのか』と批判した。PKO派遣でも『自衛隊海外派兵』とレッテルを貼った。どちらが正しかったかは歴史が証明している」

野党もメディアも間違った

「識者の中には『よくぞ、ここまで間違い続けた』という人もいる」

17年10月の衆院選で、自民党は圧勝した。

「衆院選では、『北朝鮮の脅威に対応するため、力強い外交を進める』『少子高齢化を克服するため、子供たちの未来に投資していく』などと政策を訴えた。小選挙区と比例代表で、過去3度の衆院選で最も高い得票数だった。街頭には今まで以上に若い人々が足を運んでくれた。制服を着た高校生から『安倍さん、負けないで!』と声をかけられた」

若い世代の支持は、インターネットの影響か

「ネットは、自分でさまざまな情報に接することができる。メディアが報じても、若い人は『それは真実なのか?』と調べて確認できる。いい加減な情報は淘汰(とうた)される。政府も自民党も、そういう批判や調査にさらされている。本物でなければ、厳しい時代になった」

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)所属のヘリコプターの窓が17年12月、小学校の校庭に落下する事故が起きた

「あってはならない事故だ。市街地の真ん中にある普天間飛行場の返還は待ったなしだ。名護市辺野古移設が実現すれば、米軍機の飛行経路は現在の市街地上空から海上になり、安全性は大幅に向上する。普天間の持つ3つの機能((1)輸送機オスプレイの運用(2)空中給油機の運用(3)緊急時の外来機受け入れ)も、オスプレイの運用だけになる」

沖縄では18年、県知事選や名護市長選など選挙が多い

「米軍基地の問題は、日本だけでなく、米国の了解がなければ前に進まない。民主党政権は自分の希望だけを主張し、大混乱を起こした。米国に不信感を持たれ、最悪の結果になった。大切なことは、着実に物事を進めていくことだ。選挙でも地道に訴えていきたい」

「森友・加計学園」問題は、まだ納得していない人も多い

「この問題は、17年7月の閉会中審査で衆参の予算委員会で2日、衆院選後の特別国会でも同4日、時間をかけて説明した。明らかになったのは、前川喜平前文科事務次官も含めて、誰も私から指示や依頼を受けた人がいなかった。加戸守行(かと・もりゆき)前愛媛県知事の『ゆがめられた行政が正された』という証言もあった。国会中継をすべて見た人は理解してくれたと思う。今後も、丁寧に真実を語っていく」

米サンフランシスコ市に慰安婦像が設置されるなど、日本の「歴史戦」は続いている
「日本人は元来、控えめな性格だ。いわれなき批判を受けても、『事実は必ず勝つ』『いずれ問題は通り過ぎる』という考え方できた。結果として、誹謗(ひぼう)中傷は続いている。安倍政権は考え方を180度転換した。

私は海外公館に赴任する大使に必ず、『日本への誹謗中傷、事実の歪曲(わいきょく)には、大使自らが陣頭指揮を執り、戦略的に反論し、事実を訴えるように』と指示している」

18年の日本経済はどうか

「自民党は(12年の)政権奪還選挙で『失われた国民総所得の50兆円を取り戻す』と訴えた。5年経過し、60兆円以上も取り戻すことができた。GDP(国内総生産)は過去最高になった。民主党政権時代、『人口減少時代に、もう成長はできない。成長する必要もない』と言われたが、明らかに間違いだ」

「成長しなければ、伸びていく社会保障費に対応できない。『生産性革命』と『人づくり革命』で、経済の成長軌道を確かなものとしたい。18年は、今まで以上に多くの若者が就職のチャンスをつかみ、働く方々の収入が上がっていく1年にしたい」

18年は、平昌(ピョンチャン)冬季五輪と、サッカーW杯ロシア大会がある

「平昌五輪では、ワールドカップで連勝中の女子スピードスケート、小平奈緒選手と高木美帆選手らに注目している。女子スキージャンプの高梨沙羅選手にも期待したい。サッカー日本代表は、若手とベテランが持ち味を生かし、決勝トーナメントに勝ち進んでほしい」

連日多忙だが、健康の秘訣(ひけつ)は

「定期的なチェックとともに、気分転換も心がけている。ジムや、仲間と緑を見ながら歩くゴルフは体と心にいい。新聞の(過密な首相)日程を見てもらえば(健康だと)分かる」

18年9月には、自民党総裁選がある

「通常国会で予算を通し、先の衆院選で約束したことを実行していく。これが私に課せられた使命だ。この責任を果たしていくなかで、その先のことは考えたい」夕刊フジより 

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