一方、北朝鮮に対して文政権は宥和路線に走っている。1月17日に開かれた南北次官級会談では、女子アイスホッケーの合同チーム結成、開会式での合同入場行進、北朝鮮の応援団・芸術団派遣、北朝鮮のスキー場で合同練習実施などで合意した。このうち、女子アイスホッケーの合同チームは国際五輪委員会(IOC)と韓国、北朝鮮の五輪委員会、平昌五輪組織委員会の会議でチームの登録人数を北朝鮮12人、韓国23人の計35人とした。試合に出るのは22人だが、その中に北朝鮮選手が3人入る。他の国は登録選手の上限が規定通りの23人なので、あきらかに優遇だ。登録選手が増えれば、それだけ疲労回復面で有利になる。IOCのバッハ会長は「五輪精神が双方にもたされる素晴らしい日」などと言っているが、ルール無視もいいところである。さらに、韓国の康京和外相はカナダで開かれた北朝鮮問題をめぐる外相会議で、北への人道支援再開を繰り返し訴えた。日米などが強く反対して議長声明には盛り込まれなかったが、北の宥和路線は一段と鮮明になっている。日本に対する慰安婦合意の追加要求と北朝鮮に対する宥和強化は「セット」になっているとみていい。北朝鮮から見れば、いずれも日米韓の北包囲網から韓国を引き剥がす効果がある。文政権はそんな北朝鮮の思惑にぴったり沿って行動しているのだ。
文政権について、私はかねて「中国とロシアの手先」と指摘してきた(http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52283)。「米韓合同軍事演習と核・ミサイル開発の同時凍結」という中ロの主張を最初に言い出したのが文政権だったからだ。つまり「中ロの露払い役」を担っていた。ここへきて、文政権は中ロへの肩入れにとどまらず、北に直接接近する意図を隠さなくなった。それだけ緊張が増してきたからだ。そんな姿勢に「韓国は本当に北朝鮮を押さえ込んで、核とミサイルを断念させるつもりがあるのか」という疑念が高まっている。米国のトランプ政権は平昌五輪・パラリンピック期間中の軍事行動停止に同意した。だが、その後の米韓合同軍事演習は実施する構えだ。一部には「演習からそのまま実戦に移行するのではないか」という観測も出ている。パラリンピックが終わる3月18日以降は、何が起きてもおかしくない状況と言える。文政権はあくまで宥和路線に固執するなら「韓国は演習に参加しない」と言い出す可能性さえあるかもしれない。軍事力行使のブレーキ役を目指しているのは間違いない。
そんな韓国に日本はどう対応すべきか。いまや焦眉の課題になったのは、ソウルをはじめ韓国各地に在留している日本人の退避問題である。日本政府は有事となれば、自衛隊を動員して約6万人とも言われる在韓邦人を日本に退避させる方針だ。ところが、韓国側は自衛隊の韓国上陸や港への自衛艦接岸を容認していない(1月16日付読売新聞、http://premium.yomiuri.co.jp/pc/#! /news_20180115-118-OYT1T50129/newstop)。
どちらの側に立つのか安倍首相は開会式出席に合わせて日韓首脳会談を求める方針だ。
産経新聞のインタビューで、首相は「在韓邦人の安全を守るためにも日韓の協力が不可欠」と語っている(http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240006-n2.html)。この一言が物語るように、安倍首相は首脳会談で慰安婦問題で日本の毅然とした態度を伝えるのは当然として、文大統領に直接、有事の自衛隊受け入れを求めるだろう。これは文政権の姿勢を占うリトマス試験紙にもなる。試されるのは、韓国は日米の側に立つのか、それとも北朝鮮の側に立つのか、だ。もしも文政権が日本の要請を断るなら事実上、日本人を「人間の盾」として使う思惑があるとみていいのではないか。北朝鮮は米国が攻撃すれば、報復で「ソウルを火の海にする」と公言している。日本人が退避していなければ、米国が攻撃をためらう理由になる。つまり、在韓邦人の存在が米国の攻撃をけん制する効果がある。文政権はそこを狙っているかもしれない。もう1点。安倍首相が首脳会談で日本人退避問題を取り上げれば、北朝鮮と韓国に対するけん制にもなる。日本人の退避が議題になるのは、まさしく有事を前提にしているからにほかならない。つまり「米国は本気だぞ」というメッセージになるのだ。同時に、安倍首相のメッセージは文政権の親北容共体質を考えれば、水面下で北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長にそのまま伝わる可能性もある。今回の首相訪韓は、それも織り込んだうえでの決断だったかもしれない。いわば「最後通牒」だ。
韓国は北朝鮮包囲網の一員として、もはや完全には信頼できない。今回の首相訪韓は五輪後に迎える危機本番を前に、文政権の本質を見極める絶好のチャンスである。以上の点から考えれば、慰安婦問題を理由に訪韓を見送るのは必ずしも得策とは言えない。最後に一言。もしも私がいま韓国駐在の立場だったら、政府の支援を受ける前に、家族のために五輪・パラリンピック後の帰国航空便のチケットを予約する。事が動き始めてからでは遅い。yahooニュースより
産経新聞のインタビューで、首相は「在韓邦人の安全を守るためにも日韓の協力が不可欠」と語っている(http://www.sankei.com/politics/news/180124/plt1801240006-n2.html)。この一言が物語るように、安倍首相は首脳会談で慰安婦問題で日本の毅然とした態度を伝えるのは当然として、文大統領に直接、有事の自衛隊受け入れを求めるだろう。これは文政権の姿勢を占うリトマス試験紙にもなる。試されるのは、韓国は日米の側に立つのか、それとも北朝鮮の側に立つのか、だ。もしも文政権が日本の要請を断るなら事実上、日本人を「人間の盾」として使う思惑があるとみていいのではないか。北朝鮮は米国が攻撃すれば、報復で「ソウルを火の海にする」と公言している。日本人が退避していなければ、米国が攻撃をためらう理由になる。つまり、在韓邦人の存在が米国の攻撃をけん制する効果がある。文政権はそこを狙っているかもしれない。もう1点。安倍首相が首脳会談で日本人退避問題を取り上げれば、北朝鮮と韓国に対するけん制にもなる。日本人の退避が議題になるのは、まさしく有事を前提にしているからにほかならない。つまり「米国は本気だぞ」というメッセージになるのだ。同時に、安倍首相のメッセージは文政権の親北容共体質を考えれば、水面下で北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長にそのまま伝わる可能性もある。今回の首相訪韓は、それも織り込んだうえでの決断だったかもしれない。いわば「最後通牒」だ。
韓国は北朝鮮包囲網の一員として、もはや完全には信頼できない。今回の首相訪韓は五輪後に迎える危機本番を前に、文政権の本質を見極める絶好のチャンスである。以上の点から考えれば、慰安婦問題を理由に訪韓を見送るのは必ずしも得策とは言えない。最後に一言。もしも私がいま韓国駐在の立場だったら、政府の支援を受ける前に、家族のために五輪・パラリンピック後の帰国航空便のチケットを予約する。事が動き始めてからでは遅い。yahooニュースより
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