ただリーマン・ブラザーズ破綻から9年が経過した今も、LGFVはなお存続している。
フィッチの推計では、LGFVが過去2年間に国内で発行した債券の残高は約6000億ドルと国内総生産(GDP)の5%相当に上る。4月には江蘇省のLGFVが海外の格付け会社から初めて格下げされた。
ところが中国経済が14年から15年にかけて変調をきたし始めると、当局の態度が軟化。英紙フィナンシャル・タイムズが世界銀行の対外秘調査資料を引用して伝えたLGFVの債務は15年に25%、16年も20%を超える伸びを記録した。またロイター傘下のIFRがムーディーズのデータとして報じたところでは、LGFVのオフショア市場における起債額も16年は倍増して120億ドルに達した。
昨年になると地方の債務膨張が再び焦点となり、中央政府の強硬な姿勢が復活した。5月には6つの金融規制当局が共同で地方政府に「不法な保証」の供与をやめるよう命令。
12月には人民銀行(中央銀行)の幹部が、地方政府のデフォルトを認める提案を公にした。当然予想される次の動きは、屋台骨が折れかかっているLGFVが破綻するのに任せ、投資家が資金を失う光景を世の中に知らしめることだろう。
そうした状況が現実になれば、既に影の銀行(シャドーバンキング)への取り締まりによって上昇圧力を受け動揺している中国の債券市場は、売りが広がるとみられる。中央政府はオンショア市場の混乱を放置する可能性は乏しいが、オフショア市場が不安定になったからといって同じように対応してくれるとは決して期待できない。
●背景となるニュース
*人民銀行研究局の徐忠局長は12月25日のメディアへの寄稿で、当局は地方政府と傘下機関の破綻を容認するべきだとの考えを示した。徐氏は、2013年の米デトロイト市破綻のような事態が起きれば、中国の中央政府が地方債務に「暗黙の保証」を与えているという市場の見方を一刀両断できると主張した。
*徐氏の発言の数日前には、中国財政省が「暗黙の保証のある債務」について対応に乗り出す方針を表明した。同省は「中央政府が金融面で保証を提供しているという幻想は打破されるべきだ」と宣言したと伝えられている。
*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。
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