北朝鮮情勢をめぐって、レックス・ティラーソン米国務長官が12日、講演で「前提条件なしで対話に応じる用意がある」と述べた。これをどう読み解くべきか。私は北朝鮮に対する「揺さぶり作戦」とみる。
これまでトランプ政権は「対話ではなく、圧力」によって北朝鮮の方針転換を促してきた。ティラーソン発言を額面通りに受け止めれば、対話路線に転換したようにも読める。
だが、ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)報道官は「いまが対話の時ではないのは明らかだ」と方針転換を否定し、ティラーソン氏自身も15日、「対話には脅迫的行為の持続的停止が必要」と修正した。
ティラーソン氏には、ここ数カ月、更迭説が飛び交っている。ドナルド・トランプ大統領がツイッターで、公然とティラーソン氏の対話路線を批判したこともある。トランプ政権の内部で路線対立が起きているのだろうか。
私は方針転換とは思わない。政権の圧力路線に変わりはないが、軍事攻撃に踏み切る前に対話の可能性も示して、北朝鮮の方針転換を促す「最後の外交努力」なのではないか。それはまさしく国務省の仕事である。
そもそも、圧力路線と言っても、何が何でも北朝鮮を軍事攻撃するという話ではない。北朝鮮が自ら核とミサイルを放棄するなら、米国が対話に応じるのは当然だ。
トランプ政権とすれば、相手が対話に応じなければそれで良し、応じたとしても「核・ミサイル開発を断念せよ」と言うだけだ。時間稼ぎを許さず決裂するのは、いつでもできる。
いまの局面で「相手が対話を言い出すかどうか」を見極める必要もある。なぜか。
米国が軍事攻撃に踏み切るには、国連をはじめとする国際社会に対して「外交努力は十分に尽くした」という大義名分が必要になるからだ。ティラーソン発言は、その環境作りだろう。
一方、北朝鮮には強硬路線を続けるなら、「いよいよ軍事攻撃か」と覚悟せざるを得ない展開になった。つまり、一連のティラーソン発言は北朝鮮に「譲歩か戦闘か」を迫る「揺さぶり作戦」なのだ。
もう1点、ティラーソン氏の同じ講演で注目すべきなのは、「『米軍が38度線を越えて北に入ったとしても、状況が整えば南の韓国側に撤退する』と中国に確約した」とする部分だ。軍事作戦の核心部分を事前に明かした驚くべき発言である。
これはティラーソン氏が8月、ジェームズ・マティス国防長官との連名でウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿した内容を裏書きしている。米中両国は「米国が北朝鮮を自分の縄張りにしない」ことを前提に、軍事攻撃について一定の共通理解に達しているようだ。
そうでなければ、「米軍が38度線を超える」というような刺激的な軍事シナリオが米中間で語られるはずがない。
全体としてみると、トランプ政権はホワイトハウスと国務省の間で軋轢(あつれき)を抱えながらも、結果的に役割分担しながら、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を追い詰めている。朝鮮半島の緊張はいよいよ最終局面に近づいてきた。
infoseek newsより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年12月21日木曜日
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