英国を訪問中の中国の習近平国家主席に対し、英国メディアが警戒感を示している。政府や王室の厚遇ぶりや、総額400億ポンド(約7兆4000億円)の契約締結などを連日トップ級で報じているが、人権問題を抱える共産党独裁国家や、経済最優先で「赤い帝国」にすり寄る自国政府に対して、「カネ、カネ、カネ…」などと批判的な視点で切り込んでいるのだ。「極東の未知なる指導者」への不信感も強そうだ。
キャメロン英首相と習氏は21日、ロンドン中心にある首相官邸で英中首脳会談を行った。会談後の共同記者会見では、BBCの女性記者が中国の人権問題に絡めて、強烈な質問を投げかけた。
女性記者「英国民が、民主的でもなく、透明性が足りず、人権について極めて憂慮すべき態度を取っている国との、通商拡大を歓迎するべき理由を教えてください」
やや顔を引きつらせた両首脳は、「人権を話すには経済関係の発展が重要だ」(キャメロン氏)、「中国は人権の保護を大変重視している。世界中どこをみても、人権問題は常に改善の余地がある」(習氏)と述べるにとどまった。
キャメロン氏率いる保守党政権の最大の政治テーマは、将来の展望が開けない「国内経済の活性化」だ。そこで、目をつけたのが、チャイナマネーといえる。英国は今年3月、AIIB(アジアインフラ投資銀行)への参加を先進国の中でいち早く表明し、中国の歓心を買っていた。
首脳会談後、キャメロン氏は、中国とエネルギー協力などで総額400億ポンドの契約を締結したと語った。英南部サマセット州で2025年に完成予定の原発に、中国企業が60億ポンド(約1兆1000億円)を出資し、事業の33・5%の株式を取得することで合意したという。ロイター通信などが報じた。
このほか、経済協力のメニューには、新高速鉄道建設への中国企業の参入など、安全性や性能に疑問のあるものが並ぶ。チャイナマネーのためなら、背に腹は変えられないということか。
ただ、英国メディアは先月以降、チベットやウイグルでの人権弾圧が指摘される中国や、経済最優先で、同盟国・米国ですら懸念を示す自国政府の「中国傾斜」について、批判を隠していない。
有力経済紙、フィナンシャル・タイムズは「米国の最も信頼できる同盟国が、中国の特別な友人になれるのか?」「政府は、人権などの他の問題で中国に従う立場を取らなければならないと決めている」などと報じた。ガーディアン紙も、中国経済に依存するリスクについて言及した。
エコノミスト誌は「英国は無自覚なまま中国との距離を急速に縮めている」と警戒感を示し、保守系週刊誌のザ・スペクテーターは「カネ、カネ、カネだ。それがすべてだ。モラルはどこに行ったのか」と嘆いた。
BBCは、中国による鉄鋼のダンピング攻勢の影響で大量の失業者が出ていることをリポート。労働者が政府を批判するコメントも流した。BBCはさらに、文化大革命時代の毛沢東主席の映像を流し、習氏が毛氏に匹敵する権力の持ち主と紹介した。
駐英日本大使館に勤務経験がある外務省幹部は「英国人の多くは、中国をよく分かっていない。極東の謎の国から、謎の指導者が来たという印象だろう。習氏に対する異例の厚遇に戸惑っているはずだ」と分析する。
中国が、英国を経済的に属国化するような分析もあるが、紳士の国は術中にはまるのか。
評論家の宮崎正弘氏は「経済的に厳しい中国と英国が、本音を隠して接近している」といい、続ける。
「習氏とすれば、窮地にある中国経済を活性化させるため、人民元建て国債を発行してくれる英国にすがっている。アヘン戦争でやられた恨み節も話していない。英国としては、国債発行で莫大な手数料を得られる。金融街シティが潤えばいいのだろう。英国は情報機関がしっかりしているので、中国の苦しい現状は把握しているはずだ。中国は『米英同盟分断』も狙っているが、英国はそこは対象外だろう」夕刊フジより
英国も落ちぶれた国である。中国の札束外交に頭が上がらない。金のためなら英国は中国の人権問題は関係ないという外交姿勢である。札束外交に英国の歴史に汚点が記された。
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年10月23日金曜日
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