2015年10月2日金曜日

米軍、韓国への不信

韓国の次世代戦闘機(KFX)開発事業に、赤信号が点灯しつつある。米ロッキード・マーチンのステルス戦闘機F35を購入する代わりに、同社から技術支援を受けて2025年までに国産戦闘機を開発する予定だったが、同盟国である米国が核心技術4種類の提供を拒否したのだ。米中両国を両天秤にかける朴槿恵(パク・クネ)大統領の「二股外交」が、オバマ大統領率いる米政府の逆鱗に触れたのか。

「米政府がF35対韓技術移転拒否、KFX事業見直し必至」(朝鮮日報日本語版、9月22日)

「韓国軍、F35核心技術4件の移転ないと判断しながら契約」(中央日報日本語版、9月23日)

「大統領府が韓国型戦闘機事業の検証に着手」(ハンギョレ日本語版、9月26日)

韓国メディアは先週初めの問題発覚後、F35選定やKFX事業をめぐって大騒ぎしている。

KFX事業とは、老朽化した韓国空軍のF4、F5戦闘機の代わりに、韓国型戦闘機を開発する事業。ステルス性能を持ち、精密攻撃能力を有するとされ、25年までに開発を終え、32年までに配備する予定だ。海外輸出も見据えている。開発費と量産費用を合わせて18兆4000億ウォン(約1兆8500億円)の予算が投入される「建軍以来最大の武器事業」という。

韓国軍は昨年9月、世界屈指の戦闘機大国で、同盟国でもある米国から製作技術(25種類)の支援(移転)を受ける狙いもあり、約7兆3400億ウォン(約7400億円)かけて、計40機のF35A戦闘機を配備する契約をロッキード・マーチン社と交わした。

ところが、米政府は今年4月、「核心技術4種類は移転できない」と最終通知をしてきたのだ。核心技術4種類とは「最新型のAESAレーダー」「赤外線探索および追跡装置」「電子光学標的追跡装置」「電磁波妨害装置」に関する統合技術という。

気になるのは、米政府が最終通知をしてきた時期だ。

直前の今年3月には、韓国・ソウルでマーク・リッパート駐韓米国大使が暴漢に襲われる事件が発生した。大使がナイフで負った傷は「右の頬骨からあごにかけて長さ11センチ、深さ3センチ」で、一歩間違えば、頸(けい)動脈切断で死亡する恐れもあったのだ。

さらに、韓国は同月末、米国の再三の制止を振り切って、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への参加を表明した。翌4月には、カーター米国防長官が訪韓したが、米国の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の韓国配備構想は進んでいない。

朝鮮半島情勢に詳しい元公安調査庁調査第2部長の菅沼光弘氏は「米政府は韓国政府に対して強い不信感を持っている。『機密情報は渡せない』と確信しているはずだ」といい、続ける。

「朴政権の二股外交だけではない。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権以降、青瓦台(韓国大統領府)には『親中国派』『親北朝鮮派』と分類できる人物が多い。朴大統領の周辺にもおり、とても米国は核心技術など渡せないだろう。そもそも、韓国のF35購入は、日本の自衛隊が40機導入を決めたことへの対抗意識からとされる。本来、F15サイレントイーグルを60機導入する予定だったが、財政的にも技術的にも無理をして決めたと聞いている」

とんだ「反日感情」というしかない。

問題発覚後、韓国防衛事業庁は「自主開発とヨーロッパなどからの技術導入で、KFX事業は計画どおり推進できる」と説明しているようだが、本当に大丈夫なのか?

航空自衛隊南西航空混成団司令を務めた佐藤守・元空将は「核心技術の移転がなければ、KFX事業は価値のないものになりかねない」といい、次のように説明した。

「戦闘機にとって、大空を飛び回る飛行性能とともに、レーダーや追跡装置、妨害装置などのウエポン・システムが極めて重要。例えば、米国も日本も韓国もF15を保有しているが、ウエポン・システムにはブラックボックスが多く、中身はまったく違う。日本は技術レベルが高く、米国に準じたものを作れるが、韓国にはできない。私が現役時代から、米軍幹部は韓国軍を信用していなかった。朴政権の親中姿勢を見て、『韓国に核心技術を提供すれば、すぐ中国に流れかねない』と警戒しているのだろう」

今回の問題は、朴政権にどう影響するのか。

前出の菅沼氏は「韓国メディアは大騒ぎしている。当初から、米国側が『核心技術は出せない』と伝えていた-という情報も出てきた。国民の朴政権への不信感が一層高まるのではないか」と語っている。夕刊フジより

韓国の二股外交に対して、米国は不信感をあらわにしている。F-35の技術を中国へ渡るのを米国は恐れている。その為、韓国に対して重要な技術は渡さないという姿勢である。韓国の二股外交の大きな成果である。

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