北海ブレント価格は1月から約20%上昇し、17日には一時、1バレル=80ドルを超えた。
大半の石油取引に使われるドルの相場が上昇していることもあり、石油を輸入に依存するアジアを中心に、経済に打撃が及ぶとの懸念が高まっている。
RBCキャピタル・マーケッツは今月のノートで「石油価格の急上昇で最も痛手を被りやすいのはアジアだ」と指摘した。
業界データによると、世界の石油消費量は日量1億バレルで、うち35%以上をアジア太平洋地域が占めている。一方、アジアの石油生産量は世界全体の10%に満たず、地域別で最も少ない。
アジア内と世界全体の双方で最大の石油輸入国は中国だ。4月の発注量は日量960万バレルと、世界全体の消費量の10%近い。
現在の価格で計算すると、中国の石油輸入代金は1日7億6800万ドル、月230億ドル、年間では2800億ドルに上る。
RBCは「借り入れ能力が限られる貧しい国々は、輸入代金が増えると資金繰りに窮するかもしれない」としている。
国が燃料費に多額の補助を付けていない限り、貧困国は富裕国に比べて家計、企業ともに厳しい影響が及ぶだろう。
ロイターの調査と統計ポータル、ナンベオの数字によると、インド、ベトナム、フィリピンのような途上国では、燃料費が平均的な家計所得の8─9%程度を占める。日本やオーストラリアのような富裕国ではこの割合が1─2%どまりだ。
産業界で特に大きな影響を受けるのは、運輸・物流企業。コスト上昇を顧客に転嫁する構えの企業もあるが、転嫁すれば顧客を失うためできないとする企業も存在する。
0 件のコメント:
コメントを投稿