2018年5月19日土曜日

アジアで「オイルショック」も、購入コスト1兆ドル超に

原油価格の上昇と需要増加に伴い、アジア諸国の石油購入コストが今年は1兆ドルを超えて2015、16年の2倍近くに達し、経済の重圧となりそうだ。

北海ブレント価格は1月から約20%上昇し、17日には一時、1バレル=80ドルを超えた。

大半の石油取引に使われるドルの相場が上昇していることもあり、石油を輸入に依存するアジアを中心に、経済に打撃が及ぶとの懸念が高まっている。

RBCキャピタル・マーケッツは今月のノートで「石油価格の急上昇で最も痛手を被りやすいのはアジアだ」と指摘した。

業界データによると、世界の石油消費量は日量1億バレルで、うち35%以上をアジア太平洋地域が占めている。一方、アジアの石油生産量は世界全体の10%に満たず、地域別で最も少ない。

アジア内と世界全体の双方で最大の石油輸入国は中国だ。4月の発注量は日量960万バレルと、世界全体の消費量の10%近い。

現在の価格で計算すると、中国の石油輸入代金は1日7億6800万ドル、月230億ドル、年間では2800億ドルに上る。
 
油価の上昇によって中国以上に大きな影響を受ける国もある。最も厳しいのはインドで、石油の輸入依存度が高いだけでなく、急激な負担増加を吸収できるほど国富が大きくない。

RBCは「借り入れ能力が限られる貧しい国々は、輸入代金が増えると資金繰りに窮するかもしれない」としている。

国が燃料費に多額の補助を付けていない限り、貧困国は富裕国に比べて家計、企業ともに厳しい影響が及ぶだろう。

ロイターの調査と統計ポータル、ナンベオの数字によると、インド、ベトナム、フィリピンのような途上国では、燃料費が平均的な家計所得の8─9%程度を占める。日本やオーストラリアのような富裕国ではこの割合が1─2%どまりだ。

産業界で特に大きな影響を受けるのは、運輸・物流企業。コスト上昇を顧客に転嫁する構えの企業もあるが、転嫁すれば顧客を失うためできないとする企業も存在する。
 
RBCは「アジアは将来のオイルショックから身を守るため、石油への依存を減らし、エネルギー効率を高めることが非常に重要だ」との見解を示した。ロイターより

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