中国湖北省の地方紙・咸寧日報は30日、韓国を訪れた中国人の手記を紹介した。以下はその概要。
韓国で地下鉄に乗った時に感嘆したことが二つある。一つは「韓国はお年寄りが本当に多いな」ということ。乗客のほぼ半分がお年寄りだった。もう一つは「韓国の若者は肝っ玉が大きい」ということだ。それは、若者がお年寄りに席を譲るのをほとんど見かけなかったからだが、中国なら絶対にありえないだろう。
韓国の地下鉄では、どの車両にもお年寄りのために12の優先席が設けられている。混雑していても若者はこの席には座らない。しかし、優先席も含めて席がすべて埋まっている時でも、若者がお年寄りに席を譲る光景はあまり見られない。
韓国人と付き合いがある友人や、韓国に長く住んでいる知人に理由を聞いたことがある。彼らいわく「韓国人は、『専用席があるのだから譲る必要はない』と考えている。それに、お年寄りも自分たちが老いたとは思っておらず、席を譲ってほしいとは思っていない」ということらしい。
友人は「韓国の地下鉄でお年寄りに席を譲る必要はない」とことさらに強調していた。しかし、中国で席を譲ることが習慣になっている私は、お年寄りが手すりにつかまって立っている前で何ごともないように座っているのは落ち着かない。
ある週末、私は地下鉄に乗ってソウルに向かっていた。ある駅で70歳前後と見える老夫婦が乗って来た。旦那さんはやせていたが元気そうで、奥さんはやや背中を丸めていた。旦那さんは私のすぐ右隣りの席に座り、奥さんはその前に立った。私は旦那さんの右隣に座っていたスマートフォンをいじる大学生をちらっと見たが、立ち上がる様子は全くない。
私は心の中で席を譲るべきか葛藤したが、奥さんが吊革につかまった腕に頭をもたげているのを見て、立ち上がって席を譲った。先祖代々受け継がれた道徳理念は骨の髄までしみ込んで変えようがないのだ。老夫婦は私を見て「ありがとう」と礼を言った。2人はその後も時々私の方を見てニコニコと笑顔を投げ掛けた。
旦那さんの右隣の若者が下りる時、私に手招きして自分が座っていた席に座らせた。何か話していたが、聞き取ることはできなかった。
しばらく経ち、車内販売がやって来た。奥さんはガムを買い、私に渡してきた。私はお礼を言って断った。旦那さんは私のスマートフォンに中国語が表示されているのを見て、「中国の方だったんですか」と聞いてきた。それから、旦那さんは一言一言丁寧に話をしてくれたが、勉強不足であまり分からなかった。
老夫婦は目的の駅で私に「さようなら」と言って席を立った。旦那さんはもう一度私の手を取り、握手をして「ありがとう。さようなら」と言った。
奥さんがくれたガムには感謝を感じた。旦那さんの握手には席を譲ってくれた人への尊敬を感じた。そして、中国人への尊重も感じた。同じ儒教文化圏。経済や社会背景が絶えず変化する中でも、お年寄りを尊重し、幼子をいたわるという思いは深く根を張っている。お年寄りは社会的弱者と見られるべきではないかもしれない。だが、若者からの尊重は受けるべき存在なのだ。レコードチャイナより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年8月2日木曜日
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