2018年5月1日火曜日

気象庁スパコン更新で予測精度大幅向上へ

気象予測に用いる気象庁のスーパーコンピューターが6月に更新され、集中豪雨などの予測精度を大幅に向上できる仕組みが来年夏に導入されることが30日、同庁への取材で分かった。甚大な雨量をもたらすとされる「線状降水帯」など急発達する雨雲の発生予測は現在困難とされるが、観測態勢の強化など条件がそろえば将来的に実現が見込まれる。
 
同庁によると、新たに運用開始するスパコンの性能は従来と比べ、計算性能は10倍、メモリ(記憶装置)は5倍、データ容量は30倍へ向上。これまで3年間で約40億円かけて開発され、今後5年間の運用費も合わせて計約100億円が投入される。スパコンの更新は6年ぶりで、6月5日から運用開始する。

この更新で、気象庁で使用中の「アンサンブル予報」という予測精度向上の仕組みが高度化される。従来は台風や前線の動きなど大規模な現象にしか適用できなかったが、来年6月ごろには、より小さい規模の現象に適用できる「メソアンサンブル予報」が導入される。

これにより、積乱雲が同じ場所で発生し続けることで一定範囲に多くの雨を降らせる「線状降水帯」などを事前に予測できる可能性も出てくる。線状降水帯は、昨年7月の九州北部豪雨や平成27年に茨城県常総市で起きた鬼怒(きぬ)川の決壊などの原因になった。

今年6月末には、6時間先まで可能だった降水量予測を15時間先までに、3日先までの台風強度予測も5日先に延長でき、早期避難に役立てることができる。

関係者によるとスパコンを生かすため、開発部門の大幅増員も検討中という。担当者は「更新により顕著な現象の予測精度を飛躍的に向上できる。今できないことも、将来はできるようになるかもしれない」と話した。
    
アンサンブル予報 気象予測にはわずかな誤差が含まれるため、時間とともに誤差が拡大することで予測と異なる結果になることがある。そこで初期値を少しずつ変動させた複数の予報パターンを作成し、その平均値を取ることで精度を向上できる予測の手法。気象庁によると、現在は5日先までの台風進路予報、1週間先までの天気予報、長期の天候予測で利用されている。産経ニュースより

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