2018年5月3日木曜日

粗雑な大陸鉄道の幻想=韓国

今から18年前の2000年6月15日。平壌(ピョンヤン)を訪問した金大中(キム・デジュン)大統領は北朝鮮の金正日(キム・ジョンイル)総書記と初めて南北首脳会談を開催した後、開城(ケソン)工業団地と金剛山(クムガンサン)観光、そして鉄道連結という3大協力事業を盛り込んだ6・15共同宣言を発表した。分断後初めて経験する平和ムードの中、経済協力特需と統一への期待感に誰もが浮かれた。これに応えるように金正日総書記も翌年ロシアを訪問し、「韓半島を縦断してロシアから欧州までつながる鉄道建設」計画を盛り込んだ露朝共同宣言(モスクワ宣言)を出した。

そして7年後の2007年10月4日。盧武鉉(ノ・ムヒョン)大統領と金正日総書記による2泊3日の平壌南北首脳会談でも、南北鉄道を中国・ロシアまで延長して大陸物流網を構築しようという10・4合意を出した。

また11年後の2018年4月27日。文在寅(ムン・ジェイン)大統領と金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の板門店(パンムンジョム)首脳会談でも同じく南北鉄道連結の話が出てきた。西海岸の京義(キョンウィ)線(ソウル-新義州)と東海岸の東海(トンヘ)線(釜山-元山)を通せば物流だけでなく世界観光客の流入経路になるとし、すでに大陸鉄道の幻想に浮かれている人も少なくない。「分断のため島国でないのに島国のような状況だったが、もう飛行機ではなく鉄道に乗って欧州旅行ができるとは…」。

気分の良い想像にとどまらず、一部の人は金正恩委員長が述べた「失われた11年」に言及しながら、北朝鮮に不信感を抱いた李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)政権を恨んだりしている。保守政権さえなければ、度量が大きい北朝鮮指導者の決断で早くから南北鉄道を通じて莫大な経済的恩恵を受けていたはずということだ。

とんでもない。2016年に脱北した太永浩(テ・ヨンホ)元駐英北朝鮮公使は出版予定の著書『3階書記室の暗号』で韓半島縦断鉄道をこのように描写する。「目の前に出されても食べられない」存在。ロシアの建設意志と韓国の支援意志は強かったが鉄道の建設が進まないのは、北朝鮮の東海岸防御部隊が鉄道に沿って配置されているためだという主張だ。南北が合意したように鉄道現代化事業をするには北朝鮮は海岸防御ラインを再構築しなければならないが、北朝鮮軍部の反対が強い。莫大な部隊移転費用はもう一つの問題だ。鉄道現代化費用だけで22兆ウォン(約2兆2000億円)以上かかるという推定値が出てくるうえ、それ以上の莫大な資金は私たちのポケットから出ていくしかない。

夢はいくらでも見ることができる。しかし粗雑な大陸鉄道幻想に酔う前にしっかりと現実を直視する必要がある。中央日報より

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