先日、所用があって長野県白馬村を訪ねる機会があった。白馬といえばスキーのメッカ。
学生の頃は毎冬、白馬にある八方尾根、岩岳、栂池高原といったスキー場に通いつめたものである。
新幹線長野駅からレンタカーを借りて、白馬まで約40km、ちょうど1時間ほどのドライブだ。
ハンドルを握る私は妙なことに気づいた
そこでハンドルを握る私は妙なことに気づいた。白馬村に入る頃からすれ違う車の様子が何か変なのだ。よく見ると運転している人の半分以上、いや7割くらいがあきらかに外国人なのだ。しかも中国などのアジア系というよりも欧米系といった顔立ちだ。
白馬の駅前に車を留め、近くの蕎麦屋さんに入る。白馬の蕎麦はおいしい。ここに来たらまずは蕎麦を食べなくては。蕎麦屋の女将に聞いてみる。
「最近は外国からのお客さん、多いのですか?」
「多いですね。もうスキーシーズンは過ぎたので一段落したけどね」
「欧米やオーストラリアの人?」
「昔は多かったけど最近は中国系も増えましたよ」
何やら頭が混乱しながらホテルに到着。私たちはここでも異文化体験をする。出迎えてくれたのは、やや日本語が怪しいアジア系のコンシェルジュ。聞くと昨年日本にやってきたばかりという台湾人だ。ちなみに私たちが宿泊するホテルは、中国人投資家が数名で共同で物件を所有していて、運営を日本の現地オペレーター会社に委託しているという。
もはや白馬村は学生の遊び場ではなくなっていた
聞くところによれば、ホテルの顧客の大半がオーストラリア人や中国人のファミリーやグループ客。冬のハイシーズンは全く予約が取れなくなるほどの人気だという。もはや白馬のスキー場は学生の遊び場ではないのだ。
部屋は素晴らしく、日本でいうところの3LDK。各部屋にトイレやバス、シャワールームが付く。リビングダイニングからはスキー場を目前にし、すでに雪は少なくなっていたがスキーシーズンはさぞや、と思わせるビューである。
夜はホテルの案内で街のレストランに出かける。そこでまたまた驚かされたのはホテルの送迎車。なにげに乗車するとドライバーはなんと金髪のお兄さん! 聞けば彼はアメリカ人。おそらくまだ20代前半だろうか。あっけにとられるばかりで長く質問をする暇もなく私たちはレストランに到着。
さわやかな笑顔で出迎えてくれたウェーターの女性は日本人。なんだかひどく安心してテーブルにつく。ほっとしてレストランをぐるりと見渡すと私たちはその場に漂う違和感にすぐに気づかされた。レストランはほぼ満員。シーズンオフなのにえらく人気がある店だ。だが、なんとそこで談笑する言葉はすべて外国語。日本人は私たちだけだったのだ。
「日本語のメニューをお持ちしましょうか?」
「ようこそ! うちのお店はビールがおいしいですよ」
フレンドリーで素敵な笑顔を見せるウェーターの女性が持ってくるメニューを見て戸惑う私たち。ビールはすべて外国産。そしてオーダー単位はパイント(pint)。えっと、パイントってなんだっけ? 私たちの頭は混乱を始める。正確には1パイントはアメリカでは473ml、イギリスでは568ml。あとで、スマホで調べながらため息をつく。
さらに私たちの目線がメニューに移るとみんな言葉がなくなった。メニューはすべて英語表示なのだ。もちろん少なからぬ海外体験をしているメンバーなので不自由はないのだが、こんな体験をまさか白馬でしようとは、びっくりなのである。
「あっ、すみません。日本語のメニューお持ちしましょうか?」
ここは日本。遠慮することはないので気を取り直して日本語メニューを頼む。
「今日のお客さんはみんな現地の人ですよ」
メニューもまさに外国版。メインで頼むオーダーはすべて凄まじい分量。ステーキなどの肉料理を中心にサイドディッシュに山盛りのポテトやオニオンそしてサラダ。皿を片付けに来た女性にさりげなく聞く。
「繁盛してますね。この季節でもこんなに外国人の旅行者は多いのですか?」
彼女は一瞬きょとんとした表情をみせてから私たちに答えた。
「いいえ、今日のお客さんはみんな現地の人ですよ」
彼女のこの発言におどろくと同時に、白馬村ですれ違うドライバーの顔の謎が解けていったのだ。
廃業したペンションを買い取って経営する外国人が急増中
現地の人に聞くとここ数年で外国人の定住者は増え続けており、村内の廃業したペンションや保養所を外国人が買い取って外国人客向けに改装して経営する人がどんどん増えているという。オーナーはオーストラリア人を始め中国系も多くなっているとのことだ。
実はこの現象は白馬村だけの特異なものではない。先日総務省が発表した人口動態調査では、日本の人口は1億2670万人(2017年10月)。前年に比べ22万7千人減少する中、外国人居住者は200万人の大台に達し、前年比でも14万7千人も増加しているのだ。外国人定住者の増加はある意味で日本の人口減少を緩和する役割を果たしているとも言えるのだ。
池袋はチャイナタウン、高田馬場はミャンマー人街に
東京都の人口は1372万4千人。前年比で約10万人の増加だが、この増加分の3割以上、3万4393人が外国人の増加である。すでに都内でも大久保のコリアンタウンには新たな勢力として多数のイスラム系住民が、池袋界隈は完全なチャイナタウンへ、東西線西葛西駅に降り立てば、日本中のインド人が集結したのではないかと思われるほどの数のインド人が、そして学生街だった高田馬場はミャンマー人街へと街の姿はどんどん変貌していることがわかる。
なんだかだと外国人を毛嫌いする向きはあるが、そんなことはお構いなしに日本社会のグローバル化は着実に進んでいる。彼らが創る新しいマーケットが日本の新たな成長力になるかもしれないのだ。農林水産省の調査によれば日本の農業人口は209万人(2015年)、いまや農業人口並みになった外国人の取扱いは今後の日本を左右する重要な課題なのだ。infoseek newsより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年5月2日水曜日
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