■直径約6メートルの頭蓋骨の塔が発見される
今回発掘された場所は、首都メキシコ・シティー中心地にあるアステカ遺跡、テンプルマヨール(Templo Mayor)。ここはアステカ帝国最後の最大都市であるテノチティトランの中央神殿があった場所である。問題の頭蓋骨の塔は、太陽神ウィツィロポチトリを祀った神殿のそばで見つかった。
大きさは直径約6メートル、650体以上の頭蓋骨や骨片が石灰で固められて円柱状に積み重ねられている。同じ方向を向いて並べられ、埋められた無数の頭蓋骨の威容はなんとも不気味で恐ろしい。
「Daily Mail」の記事より
専門家らはこの頭蓋骨の塔、いわば“スカル・タワー”は当時の記録に残っているTzompantliと呼ばれた、ディスプレイ用の巨大な人骨オブジェの一部ではないかと推測している。敵軍捕虜の首をはねて見せしめとして頭部を飾り付ける行為は、当時よくあったという。記録では、後にメキシコを征服しにきたエルナン・コルテス率いるスペイン人たちを相当震撼させたようだ。
今回の発掘は2年前の2015年から開始されているが、規模の大きさもさることながら特に関係者を驚かせたのは、骨に女性や子どものものが混じっていた点である。これまでTzompantliに使われていたのは捕虜であった男性、特に若い男性のものだというのが定説であり、女性や子どもは戦争にいかないと考えられおり、記録にもないことであった。
自然人類学者のロドリゴ・ボラニョス氏は「これは極めて珍しい、史上初のことです」と慎重に調査する姿勢を見せている。現地付近に詳しい考古学者のラウル・バレラ氏によると、もともとTzompantliが置かれていた場所に新たにこのスカル・タワーが設置されたのではないかという。
「Daily Mail」の記事より
1521年にアステカを滅ぼし征服したスペイン軍の兵士アンドレス・デ・タピアが遺した記述と同じものとみられている。記述には何万もの頭蓋骨が存在したとあり、バレラ氏は今回発掘されたのは650体だが今後さらに発掘が進めばその数が増えていくだろう、とコメントしている。
■血なまぐさいアステカの生贄文化
アステカ人及び周辺のメソアメリカ民族は、神々からの恩恵を受けるため、年に何十万人もの生贄を捧げたともいわれ、むしろ生贄を得るために戦争を仕掛けていたという。
「Daily Mail」の記事より
太陽に命を捧げる儀式は非常に重要なもので、その典型的な流れとしては、まず生贄は4人の司祭に寺院の最上階に連れていかれ、分厚い石の祭壇に横たえられる。
そして5人目の司祭によって儀式用の黒曜石のナイフで腹を裂かれ切り刻まれていき、最後には司祭がまだ動いている心臓をえぐり出して高く掲げるという。心臓は器に移されて神に捧げられるが、心臓を取り出した体は寺院階下に投げ捨てられた。
アステカの文献によれば、1487年に完成したテノチティトランの大ピラミッド神殿における献納式の際にはなんと4日間で8万人を超える生贄を捧げたとあるが、歴史家らはその数字はかなり誇張されているといい、実際の数は判明していない。
「Daily Mail」の記事より
今回発掘されているスカル・タワーはまだ基盤部分の発掘が残っているといい、全貌解明はこれからだという。いったいどれだけの数が埋まっているのか想像すると怖くもあるが、今後の進捗を見守りたい。
トカナより
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