■警察も検問受ける
東は日本海に面し、韓国で最も面積の広い道である慶尚北道。ウリ畑が広がる小さな村のある一角にたどり着くと、テーブルや椅子、色とりどりのパラソルが立てかけられた光景に行き当たる。
車両が通り抜けようとすると、椅子に座っていた人が近寄り、車内を目視して通行の可否を判断する。
律や条令に基づいた行為ではなく、国から検問を託された人たちでもない。韓国メディアによると、この人たちは「THAAD配備阻止全国運動」など反米団体のメンバーと星州の一部住民で、「私設検問所」を設けて車両をチェックしているのだという。
大統領選投開票前の4月末、THAADのランチャー2基やXバンドレーダーが配備されると、彼らは無許可で基地に向かう道路の一部を占拠、「検問所」を設置した。
現場には警察官もおり、これまで「検問所」を3回撤去しようとしたが、いずれも失敗に終わった。
「検問」を通過できないため、韓国軍は、THAAD運用に必要な発電用の燃料などをヘリで空輸している状態だ。
先月30日には、悪天候のせいで燃料の入ったドラム缶を山林に落としてしまうという事故があった。燃料を除去するため動員された兵士は100人にのぼった。
そればかりか北朝鮮が5月にミサイルを発射した際、発電用の燃料が底を突いていてレーダーを動かすことができなかった。これでは何のためのシステムなのか分からない。
朝鮮半島に詳しい専門家は「国家権力を民間人が行使している不思議な国」としたうえで、「文大統領が『THAAD撤回はない』と明言したとしても、異常事態を放置していることを米国は重く見ている」と指摘した。
THAADを敵視する一部勢力をあざ笑うかのように北朝鮮は今月4日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)を発射。
韓国ギャラップが4~6日に行った世論調査では配備賛成は57%、反対は27%だった。賛成は反対の2倍以上に達した。
■首都でも「極めて異例」
THAADへの異常ともいえる反対活動は首都ソウルでも起きている。
米韓首脳会談を前にした6月24日には、「THAAD韓国配備阻止全国行動」のメンバーがソウルの米国大使館の周囲を取り囲みながら約20分間にわたり、「THAADを持って出ていけ」などと叫んでデモ行進を行った。
「他国の大使館が完全に包囲されたことは極めて異例」(朝鮮日報)だ。
米大使館の建物は夜間、これまでも何度もレーザービームで「NO THAAD」と照射されている。こちらも民主主義国では異例の反対表明手段だ。
当然のことながら米大使館は、公館の威厳を定めるウィーン条約に照らした抗議の書簡を韓国政府に送った。
朝鮮日報は反THAADデモを批判する社説で「もしワシントンや東京の韓国大使館が米国人あるいは日本人によって包囲されるようなことがあれば、韓国人はそれをどう考えるだろうか」と問題提起した。
THAADだけでなく、日本大使館、総領事館でもウィーン条約に違反する事態が続いていることを韓国当局には改めて思い出してもらいたい。 産経WESTより
0 件のコメント:
コメントを投稿