韓国の市民団体が5月1日、釜山の日本総領事館前に、日本による植民地時代に強制徴用された労働者を象徴する像(以下、徴用工像)の設置を強行する構えを見せている。徴用工像の設置を推進しているのは全国民主労働組合総連盟(民主労総)が主導する市民団体「積弊清算・社会大改革釜山運動本部」。同団体は昨年3月に徴用工像の設置を宣言し、募金を集めて銅像を制作した。韓国政府は「外交問題を引き起こす」としてはっきりと反対の意を示したものの、団体側はどこ吹く風だ。
徴用工の問題は2005年、盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時「1965年韓日会談文書公開の後続対策に関する民官共同委員会」を通じ、既に終わった問題と結論付けられた。これを再び持ち出して韓日の摩擦を高めようとするのは韓国の外交的信頼度を低下させる自殺行為だとの指摘が出ている。
■外交部と釜山市は設置を認めず…市民団体は設置強行へ
同団体はメーデーに当たる5月1日午後1時30分、釜山市東区の日本総領事館前で記者会見を開き、午後2時から労働者大会を開催する予定だ。労働者大会には民主労総釜山本部の組合員5000人と徴用工像の設置を支持する市民約1000人の計6000人が集まる予定だという。徴用工像は午後3時50分から設置される。
釜山警察庁は、日本総領事館から100メートル以内での集会やデモの実施を禁じる方針を定め、1日には総領事館周辺に約3000人の要員を配置して徴用工像の設置を阻止する予定だ。しかし市民団体側は「徴用工像を設置する敷地の選択権は釜山市民にある」として設置を強行する構えだ。
外交部(省に相当)、釜山市、東区は徴用工像の設置を認めない方針だ。過去にも設置されたケースはあったが、領事館前への設置は今回が初めてだ。これらの機関の関係者は4月24日、釜山で合同会議を開くなど緊張感に包まれている。外交部は同17日、釜山日本総領事館付近への徴用工像の設置について「外交公館の保護および関連する国際礼譲と慣行の面から適切ではなく、外交問題を招く可能性が高い」として、国立日帝強制動員歴史館(釜山市南区)など適切な場所に設置するのが望ましいとの公文書を釜山市、東区、民主労総釜山本部に送付した。
釜山市も早々に、徴用工像設置に反対の立場を定め、国立日帝強制動員歴史館内への設置を市民団体側に促した。しかし釜山市によると「団体側は提案に対し全く聞く耳を持たなかった」という。
釜山市東区は最近まで「法は国民感情には勝てない。民主労総が設置すると言うのなら、少女像のように設置を阻止する方法はない」との立場だった。しかし、設置強行の動きが加速すると、一転して設置を認めない方針を示した。
■専門家ら「過去にこだわりすぎて摩擦招くだけ」
専門家らは徴用工像設置の動きについて、過去にとらわれ過ぎて未来を遮る行為だと指摘する。朝鮮通信使記録物の国連教育科学文化機関(ユネスコ)世界記憶遺産登録を韓日共同で推進した際の学術委員長だった姜南周(カン・ナムジュ)氏は「日本による強制徴用は忘れてはならない悪行だが、過去にとらわれて未来のために何もできず、対立ばかりしていては国家的に消耗するだけだ」と指摘した。東西大日本研究センターの趙世暎(チョ・セヨン)所長は「日本総領事館の目の前に徴用工像を設置すれば、韓国にとって必ず外交的な負担になる」として「韓国国民の一人として、より合理的な案を考えなければならない」と述べた。
釜慶大のチェ・ゴンシク教授(日語日文学部)は「韓日間の外交問題などを考えると、時期や設置場所について韓日両国、政府と地方自治体、設置を進める市民団体の間でもう少し話し合いが必要だと思われる」と指摘した。朝鮮日報より
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2018年5月1日火曜日
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