竹島が日本領であることの重要な根拠として、1951年9月8日に署名されたサンフランシスコ平和条約がある。
同年7月19日、対日講和条約作成を進めていた米国に韓国は竹島を日本領土から除くことを要求した。米国は調査した上で、8月10日に「独島すなわち竹島ないしリアンクール岩として知られる島に関しては、この通常無人である岩島は、我々の情報によれば朝鮮の一部として取り扱われたことは決してない。1905年頃から日本の島根県隠岐支庁の管轄下にある。この島は、かつて朝鮮によって領土主張がなされたとは思われない」と記した文書(ラスク書簡)で韓国の要求を拒否した。こうして平和条約第2条で定められた日本が放棄する領土は「済州島、巨文島及び欝陵島を含む朝鮮」であり、竹島は日本の領土として残されたのである。
これについての韓国の主張は苦しい。54年、韓国は事実を知っているにもかかわらず、「欝陵島の一属島として独島がこの平和条約によって欝陵島と同様に韓国の領域として承認されていた」と主張した。「ラスク書簡」が公開されている現在、韓国はさすがにこのような主張はできない。今年韓国で刊行された金明基(キムミョンギ)『独島総覧』でも、平和条約には「韓国に独島が含まれるという規定も、含まれないという規定もない」と述べるしかないのである。
韓国が強調するのは、敗戦後日本を統治した連合国軍総司令部による指令(SCAPIN677)で「日本の範囲から除かれる地域」の中に竹島があったことである。『独島総覧』でも、平和条約第2条には竹島についての規定がないのだからこの指令の効力は維持されたのだと強弁している。しかしこの指令の第6項には、この指令で日本の領土が最終決定されたと理解してはならないと明記されていた。日本の領土を最終決定できるのは総司令部ではなく、サンフランシスコ平和条約であった。
そこで韓国が力を入れているのは、「ラスク書簡」自体に問題があったという主張である。『独島総覧』でも、朝鮮戦争で韓国は混乱していたため外交力に優越する日本の要請を米国がそのまま受け入れたのだと説明している。しかし、竹島問題について日本が韓国のように米国に直接要請したことはなく、また米国は独自に調査している。
この主張に関連して私が気になるのは、昨年11月にソウル大学で開かれたシンポジウムでのある日本人の次の発言である(『独島問題は日本でどのように論議されているか』)。「韓国側はラスク書簡の論拠を崩すため猛烈な情念を結集した。“我々の情報によれば”という部分で使用されている“現在米国がavailable(利用可能な)”という部分を覆して、当時日本政府が米国に提供したavailableな情報は間違っていたことを証明しようとした」。
原文を読めば明らかであるが、「ラスク書簡」の該当箇所にavailableなどという語句はない。存在しないこの語句によって、米国の調査能力に限界があった(間違った情報を得た)という印象を韓国人が強めたのではないかと危惧している。
国際条約を無視して竹島を不法占拠した韓国の行動こそ解明されねばならない。この8月に島根県竹島問題研究会は第3期最終報告書を提出し、竹島問題研究は新たな段階に進みつつある。事実に基づいた論議が問題解決に寄与することを願わずにはいられない。山陰中央新報より
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2015年9月27日日曜日
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