2018年12月1日土曜日

ゴーン容疑者の報酬覚書、最側近幹部が個人で保管

日産自動車の前会長、カルロス・ゴーン容疑者(64)の報酬過少記載事件で、ゴーン容疑者が退任後に受け取る報酬額を記した覚書は、ゴーン容疑者の最側近の幹部社員が個人で保管していたことが30日、関係者への取材で分かった。覚書は複数の種類があり、ゴーン容疑者のサインがあったほか、幹部社員がサインしたものもあったという。

この幹部社員は東京地検特捜部との司法取引に応じ、自身の刑事処分の減免と引き換えに、覚書を証拠提出したもようだ。

ゴーン容疑者はケリー容疑者と共謀し、平成22~26年度の5年分の報酬を約50億円過少に有価証券報告書に記載したとして金融商品取引法違反容疑で逮捕された。

ゴーン容疑者は役員報酬の開示が義務化された22年以降、報酬20億円前後のうち、有価証券報告書に10億円前後と記載し、残りを退任後に受け取ることを自ら決定。各年度の報酬額や将来の受取額などを記載したサイン入りの覚書を作成し、29年度までの8年間で計約90億円分をコンサルティング契約料などの名目で退任後に受け取る計画だったとされる。この計画は取締役会に諮られたことはなかったという。

関係者によると、この覚書は、長年秘書室長としてゴーン容疑者に仕えた最側近の幹部社員が、個人のパソコンで極秘に保管しており、ケリー容疑者ら限られた側近のみでその情報を共有。経理部門や監査法人にも知らされなかったという。

この幹部社員は、ゴーン容疑者側に無償提供されている海外の高級住宅の購入などに関わったオランダの子会社の役員を務める外国人執行役員とともに、特捜部との司法取引に合意。特捜部は、刑事処分を減免する見返りに、この幹部社員から、覚書の提供を受けるとともに、ゴーン容疑者が退任後に受け取るのは年間報酬の一部で、将来の支払いが確定していたとの証言を得たとみられる。

一方、ゴーン容疑者は特捜部の調べに「退任後の報酬受取額は正式に確定していない」として容疑を否認しているという。一部の覚書には作成日が入っていたことが判明しているが、ケリー容疑者はこの日付が入った覚書について「知っているのは作成中段階のもので、日付の入ったものは見たことがない」などと供述。ゴーン容疑者と同様に容疑を否認している。産経ニュースより

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