2018年10月30日火曜日

原告側弁護士「賠償命令が出た場合はただちに資産差し押さえの請求手続きに入る」

日本の植民地時代に強制労働させられたとして韓国人の元徴用工四人が新日鉄住金(旧新日本製鉄)に損害賠償を求めた訴訟の差し戻し上告審で、韓国最高裁は三十日、判決を言い渡す。

日本政府は一九六五年の日韓請求権協定で解決済みとの立場だが、判決では賠償命令が出る可能性が高いとみられ、日韓関係に大きな打撃を与えそうだ。

請求権協定では、日本が韓国に三億ドル(当時の千八十億円)の無償供与をすることなどで、国と国民の間の請求権問題について両国が「完全かつ最終的に解決された」ことを確認した。

だが、韓国の民主化に伴い一九九〇年代に入り、元徴用工らが補償を求めて日本各地で提訴。

今回の差し戻し審の原告も九七年に提訴したが、日本の最高裁で請求を退けられた。

元徴用工らはその後韓国内で提訴し一、二審で敗訴。

だが韓国最高裁が二〇一二年五月、三菱重工業を相手取った訴訟を含めた上告審判決で、個人請求権は消滅していないと判断。

時効を理由に訴えを退けた二審判決を破棄して審理を高裁に差し戻した。

ソウル高裁と釜山(プサン)高裁は翌年、差し戻し審でそれぞれ賠償命令を出し、舞台は再び最高裁に移ったが、審理は止まったままだった。

審理の再開はことし八月。

日韓関係への影響を懸念した朴槿恵(パククネ)前政権の意向で最高裁・法院行政所が元徴用工の訴訟の進行を遅らせたとの疑惑で、検察が捜査に乗り出した後だった。

韓国政府は〇五年、請求権協定で慰安婦、サハリン残留韓国人、原爆被害者の問題は対象外とする一方で徴用工問題は解決済みとしてきた。

文在寅(ムンジェイン)大統領は昨年八月、徴用工の個人請求権は消滅していないとの認識を示したが、その後、発言をトーンダウン。
だが、今年九月の安倍晋三首相との会談では「司法府の判断を尊重する」と述べていた。

一二年の最高裁の個人請求権を認める判断以降、賠償を認める判決が韓国内で相次ぎ、最高裁では新日鉄以外に三菱重工業を相手取った二件が審理中。

地裁、高裁を合わせ計十五件、千人近くが提訴している。

原告側弁護士は今月二十四日、記者団に賠償命令が出た場合はただちに資産差し押さえの請求手続きに入ると表明。

和解も視野に入れつつ、国内資産がない場合は国外資産の差し押さえも検討する構えをみせている。東京新聞より

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