米国の韓半島(朝鮮半島)専門家らが、「対北朝鮮制裁の緩和と南北経済協力の推進」をめぐる韓米の考えの違いが深刻なレベルにあると繰り返し警告している。専門家らは米政権の官僚らの話を引用し、韓国の「前のめり」の姿勢に対する米政権内部の「反感」が、韓国が感じているレベルよりはるかに強いと指摘した。
■米政権の官僚、文政権の政策に怒り
米国のシンクタンク、ヘリテージ財団のブルース・クリングナー上級研究員は最近、米国務省の招請でワシントンを訪れた韓国外交部(省に相当)の記者団に会った。
クリングナー氏は「米国は表向きは文在寅(ムン・ジェイン)大統領とその努力を支持する態度を見せているが、米政府関係者と話をすると、相当数が文大統領の対北政策について非常に懸念しており、一部は激しく怒っている」と話した。
かつて米中央情報局(CIA)の韓国分析官を務めたクリングナー氏は「米政府は文大統領に対し、南北関係について何度も『もう少しゆっくり進めるように』とかなり強いメッセージを送った」と説明した。
クリングナー氏は「文大統領は北朝鮮に経済面でさまざまな恩恵を与えようと考えており、すでに多くの分野をリストアップしているが、その項目が徐々に増えている。これは国連安全保障理事会の制裁と米国法に違反する可能性がある」とも指摘した。
同氏は韓米政府の見解が一致していない代表的な事例として終戦宣言を挙げ「終戦宣言への署名は国連決議、在韓米軍駐屯をはじめ韓米相互防衛条約、米国の『核の傘政策』にまで影響を及ぼす可能性がある」と述べた。韓国政府は「韓米の協調は堅固だ」と主張しているが、米政権内部の本音は異なっているというわけだ。
米外交問題評議会(CFR)のスコット・スナイダー上級研究員も、韓国外交部の記者団に対し「(対北制裁などをめぐる)韓米の考えの違いが表面化したのは平壌での南北首脳会談かそれ以前にさかのぼる」として「8月から問題が徐々に浮上し始めていた」と指摘した。
その上でスナイダー氏は、韓国政府による開城工業団地と金剛山観光の再開推進、南北の鉄道連結の提案、開城への連絡事務所設置、南北軍事合意書などに言及した。
かつてホワイトハウス国家安全保障会議(NSC)で大量破壊兵器担当調整官を務めたゲリー・セイモア氏は「韓米は対北制裁の緩和の前に、北朝鮮がいかなる措置を取るべきか合意した上で、制裁緩和を同時に進行すべきだ」と指摘した。
■米国の議員ら「中間選挙とは関係なく圧力続ける」
米国務省は連日、強力な対北制裁の必要性を強調している。同省のナウアート報道官は26日、国連安保理が先ごろ、対北制裁に違反したとみられる船舶3隻を制裁リストに追加したことに関連し「北朝鮮の違法な輸送活動が続く限り制裁は続けるべきで、船舶間の積み荷の移し替え(瀬取り)への関与が疑われる全ての船舶を制裁対象に指定することを要求する」と述べた。
国務省はまた、北朝鮮による最近の違法なサイバー活動についても「挑発的な振る舞いには代償が伴う」と警告した。
来月6日に行われる米国の中間選挙に関係なく、米国による北朝鮮への圧力は続くとの見通しも示されている。民主党のベン・カーディン上院議員(外交委員会)は、民主党が下院を奪還すれば北朝鮮へ関わり方が微妙に変化するかもしれないが、北朝鮮政策自体に関する議会の方向性は変わらないだろう」との見方を示した。
一方、ダンフォード米統合参謀本部議長は26日、ワシントンでの会議で「軍事的なリスクと政治的な進展の間で指導者たちが非常に難しいバランスを取っている」として「外交分野で成功すればするほど、軍の指導者たちはやりにくくなるだろう」と述べた。これは韓米合同軍事演習の中止などに関する米軍指導部の懸念をにじませた発言と解釈される。朝鮮日報より
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