2018年10月25日木曜日

F2後継戦闘機開発を支援 IHSのグレバット氏

アジア太平洋地域の安全保障問題に詳しいIHSジェーンズのアナリスト、ジョン・グレバット氏(タイ・バンコク在勤)は17日までに東京都内でインタビューに応じ、米国政府が中国の脅威に対抗するため、航空自衛隊の戦闘機「F2」後継機の開発を強力に支援するとの見方を示した。日米共同開発が実現すれば、三菱重工業をはじめとする日本の防衛産業が国際化する好機になると指摘した。
 
F2後継機をめぐっては、世界最強といわれる米ロッキード・マーチン製の「F22」と、米国を中心に西側諸国が共同開発し、航空自衛隊も導入しているロッキード製「F35」の機体をベースに日米が共同開発する案が浮上している。
主なやりとりは次の通り。

F2後継機の共同開発はどう進むか

「日本政府は公式に認めていないが、共同開発の相手先は米国しかない。米国側メーカーはF2共同開発などの実績を持つロッキード・マーチンが有力だ。ロッキードは『第5世代』と呼ばれる最新の戦闘機技術を移転してもよいと話しているが、F22の技術のうち米国政府が移転したくないものもあり、日米政府間での協議事項となろう。アビオニクス、AESAレーダー、レーダー波妨害技術などの移転は法的な規制もあり難しいだろう」
 「共同開発を通し、米軍と航空自衛隊との間でインターオペラビリティー(相互運用性)を維持、強化することができ、米軍の東アジア地域での作戦の効果が高まる。開発の受注というビジネス上の利益もあるものの、日本が高性能戦闘機を持つことこそが、それを上回る米国の利益だ。日本の防空能力を高められる戦闘機は、戦略上重要な“資産”であり、優先順位の高い目標だ」

日本には、高いステルスやエンジン技術を背景に純国産戦闘機を開発する構想もあった
「多くの国が国産戦闘機開発に挑んできたが、今や100%の国産は不可能だ。近代的な防衛装備は米国でさえ自国でまかなえず一部を欧州などに依存している。特定地域内で優位性を保つだけの戦闘機なら別だが、最先端戦闘機の単独開発は無理だ」

「炭素繊維強化複合材や翼の製造、アビオニクス、ミサイルに搭載する目標物識別、ナビゲーションなどの技術分野で日本の競争力は高く、米国も注目している。ただ日米共同開発で、より大きな恩恵を受けるのは日本の方だ」

F2後継機の共同開発が実現すれば日本の防衛産業の国際化にも弾みがつくか

「理論的にはイエスだ。ただ日本政府の対応には問題がある。たとえばF35をめぐりロッキードは三菱重工やIHI、三菱電機との協力を深めたいと繰り返し表明しているが、こうした民間企業への日本政府の支援がまだまだ足りない。日本からのF35のコンポーネント(構成部品)輸出が実現していない背景にも、政府の支援不足がある。防衛装備庁設立を機に国際化に向けた政府の取り組みがどこまで進むか、また、三菱重工など日本の防衛各社が事業の構造改革を通して価格競争力を高められるかが成否を左右する」
 「中国は軍事面で過去数年間、超音速ミサイルや潜水艦からの発射技術などを急ピッチで開発。しかも東アジアの現状変更を狙っている。これが米国にとっての大きな懸念材料だ。こうした緊張の高まりの一側面として貿易戦争が起きたととらえている。米国が日米戦闘機のインターオペラビリティーを確保し、作戦能力を高めたいと考える背景にも中国の脅威がある」

「中国の軍事技術の脅威と、米中間の緊張が高まっている中で多くの軍事アナリストや軍の幹部が、東シナ海や南シナ海で両国が相手の行動や反応を読み間違えて軍事衝突に発展するリスクが増大していると指摘している。平和の維持には両国間の対話継続が必要だが、行き詰まりを見せている」産経ニュースより

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