2018年6月6日水曜日

世界初の有機ELパネル「印刷方式」を業界標準に

パナソニックとソニーの有機EL事業を統合したJOLEDが、世界初となる低コストの「印刷方式」で生産した高精細の有機ELパネルの量産に平成31年にも乗り出す。

印刷方式は有機ELで先行する韓国勢の「蒸着方式」と比べ、製造コストを2~3割下げられるのが特徴だ。製造技術開発部門第1グループの森政俊シニア・ゼネラル・マネージャーは、先行企業のいない中型パネル市場での事業参入を皮切りに印刷方式のデファクトスタンダード(事実上の業界標準)化を目指すと意気込む。

昨年12月に印刷方式で生産した中型の有機ELパネルを初出荷した

「27年1月にJOLEDが発足したが、次世代技術の有機ELパネルでどう先行メーカーに対して勝ち得るか、有機ELを普及させることができるかを議論し、世界初の印刷方式に挑戦する方針を打ち出した。この3年の研究開発は当然失敗だらけだったが、製造プロセス、設備、材料、生産管理などで知見を蓄積し、次につながる技術の進化ができたと思う。実際にモノが出せたことでステージが変わるし、モチベーションになる」

印刷方式とはどのような技術か

「韓国のサムスン電子とLGディスプレーが実用化する『蒸着方式』は、真空装置の中で発光材料を気化させて付着させてパネルをつくる。大きな装置が必要で、装置内に材料が付着してしまうので材料ロスも大きい。一方、印刷方式は発光材料をインクジェットプリンターのように基板上に塗り分ける。大気中で生産できるし、材料のロスも非常に少なく、コストを抑えることができる。だが、材料を微細に塗り分ける必要があるので、生産技術の難易度は高い」

中型パネルの領域に最初に切り込む理由は

「スマーフォンなど小型はサムスン、テレビなど大型ではLGと先駆者がおり、JOLEDとしてはまず、中型の領域から入って広げていこうという方向になった。中型で顧客のニーズに応じるには、精細度の技術レベルを設立当初の水準より大幅に引き上げる必要があった。だが、1年後には目標とする精細度を実証することができ、試作ラインを設置しても良いという経営判断になった」

前身2社の技術の融合は円滑に進んだか

「印刷方式を開発してきたのはパナソニックで設備や材料にノウハウがあった。一方、ソニーは蒸着方式で世界で初めて19年に有機ELテレビを発売するなど量産実績に強みがある。統合するまではライバルでお互いの技術はクローズだったので、どう突き合わせてオープンに動くかには苦心した。東入来信博社長が最初に『まず、わが社といえ』『わが社をどうするかを第一優先で考えろ』とトップダウンで繰り返したことで、早い段階で技術の融和が図れたことが大きい」

中型パネルの採用拡大をどう進めるか

「最初に製品化した4K画像に対応した21・6型のパネルがソニーの医療用モニターに採用され、昨年12月に初出荷した。今年1月には台湾のASUSにもサンプル出荷を開始しており、次の供給先となる見通しだ。有機ELの画質の良さに加え、曲げて使える形状自由度などを訴求し、自動車の車内パネルや曲面の電子看板など新分野にも幅広く提案したい。現在は試作ラインでの少量生産だが、31年には量産ラインでの本格生産を目指している」

印刷方式を有機ELのデファクトにする戦略は

「中型パネルは自ら量産し、市場開拓に注力するが、テレビなど大型パネルの領域での展開も検討している。外部のパネルメーカーに材料や製造設備とセットで生産技術を供与するビジネスモデルを目指している。ある程度規模を広げていかないと、良い技術を出しても線香花火的に消える。印刷方式をデファクトにする以上、量産技術を固めて、パートナーシップをどう広げていくかが重要になる」産経ニュースより

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