韓国政府が中国と終末高高度防衛ミサイル(THAAD)関連で合意を発表し、THAAD追加配備・ミサイル防衛(MD)・韓米日同盟に否定的な立場を表明したことが問題になっている。中国外務省がこの「三不」政策を「韓国が『約束』した」と表現したことに対して韓国外交部(省に相当)が問題提起すると、中国側は「立場表明」という表現に変えたと発表された。
だが、「約束」であれ「立場表明」であれ、その形式が重要なのではない。韓国の主権事項、それも最も敏感な軍事主権に第三国が影響を与えたこと自体、既に主権が損なわれいるということだし、国益を損なう先例として長らく残ることになるだろう。
韓国外交部が問題提起したのにもかかわらず、中国国営メディアは既に、韓国が「三不」を中国に対し約束したと大々的に宣伝している。中国外務省報道官は「韓国が表明した立場を実際に履行するよう望む」と圧力を加えた。中国は今後、THAAD合意を根拠に、事あるごとに韓米同盟にケチをつけてくるかもしれない。
米国の動きも尋常でない。国家安全保障問題担当の大統領補佐官は「韓国が主権を放棄するとは思わない」と、遠回しに懸念を表明した。在韓米軍司令官が「既存の首都圏防衛システムに防衛資産や能力を追加する」と言及したことも、韓国政府の「THAAD追加配備を検討しない」とは異なる見解として受け止められている。
韓米同盟と北朝鮮の核問題への取り組みに重要な意味を持つトランプ米大統領の訪韓直前に、このような問題が浮上しているのも不吉だ。
国際情勢はどのように変わるか予断を許さないものだ。しかも、北東アジアは、世界で最も緊張が高まっている地域で、米中が激しくぶつかる場でもある。習近平政権が2期目に入った中国は、今後は慎重を期すよりも力を発揮していくと公言している。
北朝鮮は既に韓国全域を攻撃できるだけの核ミサイルを保有していると見るべきだろう。そして、まもなく米国を攻撃できる核ミサイルも保有することになると見られる。
中国によるTHAAD報復措置で韓国が受けた経済的被害は重要な問題だ。しかし、安保よりも優先すべきことはできない。経済的被害は韓国に劣らず中国にとっても大きい問題だ。韓国人や韓国企業も中国の非道な報復により退くつもりはなかった。だからこそ、韓国政府は少なくとも主権事項だけははっきりとした原則をもって交渉に臨むべきだった。
外交で主権を守るのは基本中の基本だ。韓国の主権を守るための戦略的あいまいさは、強国・大国と渡り合うことができる基本的な手法だ。依然として北朝鮮と友好関係を維持している国を前に、韓国が自らの主権を損なってまで身動きが取れなくすることが、将来どんな逆風となってやって来るか心配でならない。それでも大統領府はこの交渉を自画自賛している様子だという。
韓国政府は今後、第三国の立場とは無関係に、韓国の主権が韓国の意思で決定されることを明言する必要がある。 朝鮮日報より
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2017年11月4日土曜日
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