2018年4月1日日曜日

「金正恩氏の狙いは日韓・日米分断」 英王立国際問題研究所上級研究員

核問題をめぐり、北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と米国のトランプ大統領が直接会談することは歓迎すべきことだ。しかし、トランプ政権の朝鮮半島政策はまだ固まっておらず、駐韓大使も未定だ。会談には準備が必要で、もし事前調整が難航し、トランプ氏、金氏双方が成果無しと判断すれば、米朝首脳会談が開催されないこともありうる。
 
トランプ氏は熟慮せず独断で会談を決めたようだが、軍事作戦を視野に圧力をかけ続ける米国との直接交渉を望んでいた金氏の勝利といえるだろう。金氏からは日韓、日米を分断させる思惑が透けてみえる。

また今回、韓国が日本、中国の頭越しに米朝間の仲介役を果たしたが、文在寅大統領は自身の対北政策の成果と胸を張るだろう。北朝鮮を平昌五輪に参加させたことで、対話モードが一気に動き出したからだ。

しかし、韓国は金氏の言葉をかなり楽観的にトランプ氏に伝えたようだ。「非核化に取り組む」ことなどを会談条件に挙げたが、北朝鮮が非核化に無条件で応じるとは到底思えない。

オバマ前政権時代と異なる政治的成果が欲しいトランプ氏が、同氏の得意とするディール(取引)で金氏から核兵器を取り上げられると考えていたら大間違いだ。

北朝鮮は核武装したから米国と対等の立場で首脳会談を実現できたと考え、30年以上にわたって開発を進め、完成寸前の核を容易に手放すわけがない。北朝鮮の非核化には、確実に検証する査察が必要だ。

米朝首脳会談が実現した場合、最も懸念されるのは、トランプ氏が米本土に届く「大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発中止の見返りに対北制裁を解除する」と部分的に譲歩し合意してしまうことだ。

そうなれば、すでに北朝鮮が保有する「ノドン」など準中距離弾道ミサイルの射程にある日本には「脅威」が残ったままとなる。日米同盟が根幹から揺らぎかねない。

さりとて平和に向けて米朝が対話に乗り出す中、日本が制裁と軍事的圧力の強化を率先して主張すれば、1971年にニクソン米政権下でキッシンジャー大統領補佐官が極秘訪中し、米中国交正常化につながったように、米朝が日本をパス(素通り)して取引するジャパン・パッシングの悪夢の再来も予想される。

安倍晋三首相が4月に訪米する。トランプ氏には、中途半端な妥協をしないようにクギを刺すことが重要だ。多くの疑問が山積みのまま、北朝鮮との間で安易に合意をしないように説得してほしい。産経ニュースより

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