2018年4月3日火曜日

危機に直面する韓国の自動車産業、問題点は

2018年2月15日、米ゼネラル・モーターズ(GM)が韓国GMの群山工場の閉鎖と共に追加的な構造調整を示唆し、「韓国自動車産業が危機に直面している」との懸念の声が高まっている。韓国内の自動車産業は7〜8年前に後退している状況に、今回このようなGMの決定が重なったためという。韓国・ヘラルド経済が報じた。

韓国自動車産業によると、昨年の韓国の自動車生産量は411万4913台を記録。16年(422万8509台)に比べて2.7%減少した。自動車生産量上位10カ国のうち2年連続で生産量が減少したのは韓国だけとされる。

16年に完成車ビッグ5の座を奪ったインドは昨年、6.8%増の478万台を生産して韓国との差をさらに広げたという。韓国を追うメキシコ(7位)は406万8415台と13%増加しており、その差はわずか4万台。これを受け、記事では「6位の座まで危うくなった」と伝えている。

一方、国内自動車市場において韓国GMが占める割合(乗用車+商用車)は昨年は7.4%。06〜07年は10%を上回っていたことを考慮すれば過去最低水準に下がったことになる。依然として現代(ヒュンダイ)や起亜(キア)車の次に比重が大きいとされるが、年間25万台規模の韓国GMの群山工場が閉鎖されれば国内の自動車生産能力はその分縮小、グローバル市場での競争力はさらに低くなるという。

記事では「もしGMが富平(ブピョン)や昌原(チャンウォン)工場などさらに規模の大きい他の事業所まで縮小または閉鎖などの措置を取れば、打撃は一層深刻になる恐れがある」と憂慮している。完全撤退の断行という最悪のシナリオの場合、他の国内競争会社にも良い影響はないと分析され、かえって自動車産業基盤が全体的に弱化し得るというのだ。

完成車メーカーのある関係者は「すでに韓国GMの内需シェアはかなり下がり、輸出に集中しているため他の国内完成車メーカーが反射利益を得る可能性は少ない」とし、「むしろ韓国GMの協力会社の大半がライバル会社とも取引していることから、協力会社の経営難が加重される。他の完成車メーカーにまで影響が及べば、国内自動車の生態系自体に大きな混乱を招く危険がある」と指摘している。

また、企業データセンターの韓国CXO研究所によると、国内自動車産業の売上減少の一方で人件費は上昇傾向にあるとする分析が出たという。現代車の場合、11〜15年の5年間の平均賃金上昇率は5.1%とフォルクスワーゲン(3.3%)、トヨタ(2.5%)より高い。韓国自動車産業協会の分析からも、国内完成車メーカー5社の労働者1人当たりの年収は9313万ウォン(2015年末基準、約925万円)とトヨタ(7961万ウォン=約790万円)、フォルクスワーゲン(7841万ウォン=約779万円)より多いことが分かっている。

その反面、生産性はかなり落ちており、韓国で自動車1台を造るのにかかる時間は26.4時間とトヨタ(24.1時間)、GM(23.4時間)より長い。韓国自動車産業が「高コスト低パフォーマンス構造の沼に陥っている」というのだ。

これを受け、自動車業界関係者は「韓国自動車産業が全体的に再び息を吹き返すには、このような高コスト低パフォーマンス構造を根本的に変えなければならない」と話している。

韓国のネット上では「年俸構造を見れば一目瞭然。赤字が出ても成果給をせがむんでしょ?」「労組は毎年、恒例行事のように『給料を上げろ』と訴えている。他社よりいい車を開発しようとデモしたことはある?」「適当に造って高く売る経営マインドと、会社が破産するのも知らずに賃金アップをせがむ労組のせい。これじゃ10年も持たないだろう」など非難の声が目立ち、中には「韓国車の問題。1.強靭な労組、2.労組を支援する民主党などのリベラル派、3.労組を思いのままにコントロールできない、4.単純労働に比べて高賃金」とコンパクトにまとめるユーザーも。

その他にも「自国民を冷遇し、いいカモと考えてる」「これまでずっと国産車に乗ってきたけど、最近は輸入車を買おうか悩んでる」「絶対に支援不可能。自分で何とかしてください」などの声が上がっており、国産車への信頼はかなり揺らいでいるようだ。

レコードチャイナより

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