安倍晋三首相は20日午後(日本時間21日未明)、米ニューヨークで国連総会の一般討論演説を行った。国際社会の警告を無視して「核・ミサイル開発」を強行する北朝鮮について、「脅威はかつてなく重大で、眼前に差し迫ったものだ」「(過去の対話の試みは)無に帰した」「必要なのは圧力だ」などと訴え、安全保障理事会の制裁決議を完全履行するよう求めた。演説の大半を北朝鮮問題に費やす異例の内容で、10月衆院選(10月10日公示-22日投開票予定)でも同問題は最大の焦点となりそうだ。こうしたなか、在韓米国人の退避準備ともいえる動きが発覚した。
安倍首相は演説冒頭、法の支配や安保理改革など多岐にわたるテーマを挙げたうえで、「論点をただ1点、北朝鮮に関して集中せざるを得ない」と切り出し、「今そこにある危機」に言及した。
まず、北朝鮮の脅威について「核兵器は水爆になったか、なろうとしている。運搬手段は早晩、ICBM(大陸間弾道ミサイル)になる」と指摘。国際社会が構築してきた核不拡散体制が「史上最も『確信的な破壊者』によって、深刻な打撃を受けようとしている」と断じ、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長を罵倒した。
同時に、核開発凍結や放棄を定めた1994年の「米朝枠組み合意」や、2005年の「6カ国協議による合意」後も、卑劣な北朝鮮は裏で核開発を続けていたと説明し、「対話とは、北朝鮮にとって、われわれを欺き、時間を稼ぐための手段だった」と指摘。
北朝鮮との対話は、完全に検証可能で不可逆的な「核・弾道ミサイル計画の放棄」が条件としたうえ、「そのため必要なのは対話ではない。圧力だ」と述べた。
また、ドナルド・トランプ米政権の「すべての選択肢はテーブルの上にある」とする対北朝鮮政策を「一貫して支持する」と強調。北朝鮮の脅威に「日米同盟、日米韓3カ国の結束で立ち向かう」と明言した。
トランプ大統領は前日の一般討論演説で、北朝鮮を「世界全体の脅威」「(軍事攻撃となれば)完全に破壊する」と断言したが、安倍首相が歩調を合わせたかたちだ。
トランプ発言に対し、北朝鮮の李容浩(リ・ヨンホ)外相は20日、「犬が鳴き声で驚かそうとしたとすれば、バカげた夢だ」と非難した。
安倍首相は5年連続の国連演説で、8割超を北朝鮮問題に割いた。
10月衆院選もにらみ、北朝鮮の脅威に対抗する国際包囲網づくりを主導する姿勢をアピールした。
年末以降、朝鮮半島で「異次元の危機」が懸念されるなか、朝鮮日報(日本語版)は19日、以下のような衝撃的なタイトルの記事を掲載した。
《「米国人避難作戦」の米実務者が来韓、対北軍事行動の前兆?》
北朝鮮が「6回目の核実験」(3日)を強行した直後、エリザベス・コードレイ米国防次官補代理(計画担当)が訪韓し、韓国在住の米国人の避難作戦(NEO)を点検していたとして、「米国が北朝鮮に対する軍事行動を準備しているのではないか」との観測を紹介した。
NEOとは、軍人ではない民間人(非戦闘員)を危険な場所から退避させる作戦を指す。韓国には約20万人の米民間人がいる。米軍は今年1月、北朝鮮の韓国侵攻を想定して、在韓米軍の家族を対象に、沖縄に避難する訓練を実施している。
NEOのチェックが事実なら、米国が「米朝開戦」の覚悟を固めた印象も受ける。実は、同様の動きは8月にもあった。
聯合ニュースは9日、CIA(米中央情報局)と国土安全保障省の情報要員数十人が韓国を訪れたと報じた。北朝鮮が、米領グアム周辺への弾道ミサイル発射を「予告」し、米国が軍事的な対応方針を示唆した時期だ。在韓米大使館と在韓米軍の米国人退避計画も点検すると報じた。
トランプ政権首脳の言動も変化しつつある。
トランプ氏は先の国連演説で、北朝鮮への軍事行動に言及したが、これまで慎重な発言を繰り返してきたジェームズ・マティス国防長官も18日、韓国の首都ソウルを北朝鮮の報復で「重大な危険」に陥らせることのない軍事的手段があると記者団に明かしている。
米国は、北朝鮮への軍事行動に向けて、韓国の民間人や軍人家族の撤退準備を始めたのか。
評論家で軍事ジャーナリストの潮匡人氏は「CIA要員の訪韓は、私も事実関係を確認した。『先制的攻撃』や『北朝鮮からの攻撃』の可能性を含めて、今後、米民間人らを避難させる必要性が出てくるという前提で、米国が本腰を入れて対策を始めたと考えていいだろう」と指摘した。
元韓国国防省北韓分析官で拓殖大客員研究員の高永チョル(コ・ヨンチョル)氏も「北朝鮮への『ピンポイント空爆』をいつごろするのか、という意思決定が迫っている証しだろう。ただ、米国は外科手術前の麻酔と同じように、北朝鮮のコンピューターネットワークや無線網、電力を麻痺させて、反撃できないようにしてから空爆する。在韓米国人を避難させなくても空爆に踏み切ることができる。北朝鮮への『だから挑発するな』『挑発したら終わりだ』というシグナルではないか」と分析した。
在韓米民間人は約20万人。避難にはどれぐらいの期間が必要なのか。
潮氏は「1カ月近くはかかるのではないか。とりあえず、米国は『頑丈な施設に避難させる』という検討をしているだろう。ソウルは核攻撃よりも火砲による攻撃の蓋然性が高い。頑丈な建物や地下に避難するだけで相当程度被害が極減できる」と語った。
朝鮮半島に危機が刻々と迫っている。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年9月24日日曜日
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