卵巣の表面の細胞にできる上皮性卵巣がんの新たな治療の標的になる遺伝子を大阪大学大学院医学系研究科の小玉美智子助教(産科学婦人科学)、小玉尚宏助教(消化器内科学)、木村正教授(産科学婦人科学)、とテキサス大学のナンシー・ジェンキンス教授らの研究グループが発見した。
細胞の核内にタンパク質を運び込む「核輸送因子」というタンパク質の遺伝子(KPNB1)で、その働きを抑制すると、がん細胞の細胞死などを起こすという抗腫瘍効果があることを明らかにした。
さらに、この遺伝子の抑制には、ノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智・北里大学特別栄誉教授が発見した「エバーメクチン」から開発された抗寄生虫薬「イベルメクチン」が有効で、腫瘍の縮小などの効果を高める可能性があることをつきとめた。この成果は「米国科学アカデミー紀要」に掲載された。
上皮性卵巣がんは、卵巣がんの9割を占め、見つかったときにはすでに進行しているケースが多いことから、手術でがん病巣を切除したり、薬剤による化学療法を行ったりしても、後に再発などする予後不良になるケースがある。このため、がんの分裂・増殖に関わる遺伝子や、遺伝子の変異を調べ、これを標的に新たな治療薬開発に結びつける研究が世界中で行われている。
こうしたことから、研究グループは、マウスにヒトの上皮性卵巣がん細胞を投与し、体内にできたヒトのがん細胞内で働く数千、数万の遺伝子それぞれについて、腫瘍の形成に関わるかどうかを調べた。
遺伝子の働きを抑制したり、破壊したりする実験で、腫瘍ができなくなれば、その遺伝子の働きを止めることが創薬の標的になるわけだ。その結果、多数の候補遺伝子がみつかったが、その中で、特に強い腫瘍形成の阻害作用を示したのが遺伝子KPNB1の働きを抑制したときで、がん細胞では起こらないはずの細胞死や細胞分裂の停止が誘導されていた。
また、このがんの患者のデータを解析すると、KPNB1の発現が高い症例では、治療後の経過が悪化しており、新たな治療の標的になる遺伝子である可能性が示された。
さらに、研究グループは「イベルメクチン」がKPNB1の働きを抑制して、抗腫瘍効果があることを発見。
現在の上皮性卵巣がんの標準治療薬の一つで、がん細胞の細胞分裂を抑える「パクリタキセル」と併用すれば、効果が増強されることを突き止めた。
臨床に使うには、詳細なメカニズムの解明や副作用の有無など研究の余地があるが、小玉美智子助教は「抗寄生虫薬として広く知られるイベルメクチンに、抗がんという新たな薬理作用がみつかり、新規の治療戦略に加わる可能性がでてきました。今回、見つかった治療標的遺伝子とともに、創薬化が加速され、患者の予後の改善に貢献することを期待しています」と話している。 産経WESTより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年9月25日月曜日
登録:
コメントの投稿 (Atom)
日産ケリー前代表取締役の保釈決定 保釈金7000万円 東京地裁
金融商品取引法違反の罪で起訴された日産自動車のグレッグ・ケリー前代表取締役について、東京地方裁判所は保釈を認める決定をしました。検察はこれを不服として準抗告するとみられますが、裁判所が退ければ、ケリー前代表取締役は早ければ25日にもおよそ1か月ぶりに保釈される見通しです。一方、...
-
インターネット 上には「掛けてはいけない電話番号」と銘打たれた、詳細不明の電話番号のリストが多数存在しています。それら電話番号と共に書かれている文面を見るに「掛けると死ぬ」「呪われる」「ドッペルゲンガー」「 宇宙人 」「貞子の電話番号」「花子さんの電話番号」などなど、いかにも恐ろ...
-
ホラー 映画『ファイナル・デッドコースター』で描かれるような遊園地での悲惨な死亡事故は、残念ながら現実でも起きてしまうことがある。今年8月には岡山県の遊園地で、走行中のジェットコースターの安全バーが外れ、乗客1人が負傷する事故が発生した。また、同日には大分県の遊園地でも、レールを...
-
人を殺した人と会う。 死刑囚 の実像に迫るシリーズ【3】 「“あの時”に 時間 を戻せたらいいのに、ということはいつも思います。ただ、もしも“あの時”に戻れるとしても、今の自分で戻りたいです。自分まで当時の自分に戻ったら、また同じことを繰り返してしまいそうだからです」 昨...
0 件のコメント:
コメントを投稿