このことから、政府は北の動きを把握しているかのように見て取れるが「その後、李容浩北朝鮮外相が太平洋上での水爆実験の可能性に言及することは予想外の展開だった」そう語るのは、元政府関係者(安全保障担当)。その元政府関係者に一連の動きと米朝開戦の可能性について“3つのポイント”を解説してもらった。
■1、米朝は水面下で繋がっている 北朝鮮は米国の合意のもと核実験を行った?
画像は、Thinkstockより
「9月9日の北朝鮮の建国記念日に核実験が行われたことは記憶に新しいと思います。金正恩委員長としては、建国記念日になにがしかの成果を出したかったのでしょう。ですが、なぜ堂々と核実験が行えたのかというと、米朝は水面下の交渉で、北朝鮮が、グァム・サイパン方向へ向けての弾道ミサイル発射実験は行わないならば、米国は北朝鮮に対して軍事行動は取らない。米国は核実験を容認できないが、かといって核実験が軍事的オプションにつながるわけではないという趣旨の合意を成立させていたからなのです。ゆえに、前回の弾道ミサイル発射実験は日本越えで行われたのです。
さすがにグァム・サイパン周辺に着弾するようなミサイルを発射されたのでは、完全に米国のメンツを潰してしまいますからね。それに、そもそも北朝鮮は、日本を『米国の傀儡国家』としか思っていませんので、日本越えのミサイルを発射したとしても、米軍さえ動かなければなんの脅威も感じていません。その米国と話しがついた以上、ある意味堂々と日本越えミサイル発射実験を行い、核実験を強行しているのです。
■2、危機はない可能性 今起きていることはすべてフェイク?
「次に、9月15日の日本通過ミサイル発射実験がなぜこの時期だったかですが、北朝鮮は、11日の国連安全保障理事会の制裁決議がどのような形になるのかを見極めた上で、ミサイルを発射しようと考えていたからです。
というのも、国連では、中国とロシアが制裁決議に抵抗しているような動きをしていたことから、その動きに水を差すような時期を避けたんです。当然、中国とロシアがどの程度北朝鮮側に立つかを検証していたという側面もあります。
そして、国連の制裁決議が想定通りの中身で決着したのを見届け、米国との約束どおり、グァム・サイパン方向ではなく、日本越えでミサイルを発射したという筋書きです」
アメリカと北朝鮮は水面下で繋がっている? もしそうだとしたら、今起きていることはフェイクなのだろうか。
「表面上、危機的な状況を演出し、お互いの国のメンツを保つということでしょう。北朝鮮はまさにメンツだけで体制を維持している国家ですし、一方でアメリカも国際社会に対し、または国内世論に対しても一歩も引けない状況ですよ」
そんな中、お互いの国がお互いのメンツを保つためだけに舌戦を繰り広げているというのか。この疑問に対して、元政府関係者はこう語る。
「ご指摘のように“口だけ戦争を煽って実際は戦争するつもりがない”という側面は大いにあると思います。実際に、これまで米軍が軍事的オプションを実行しようとし痕跡はほぼゼロに近い。空母打撃群の複数展開も通常の交代を利用しただけであり、F15戦略爆撃機の投入も、通常の米韓軍事演習に参加しただけでしたからね。ですから、現状はまだ何も動いていません」
■3、戦争が起きる可能性 もし、10月10日に日本超えの水爆実験が行われたら米朝開戦か?
「問題は今後ですが、北朝鮮は9月15日のミサイル発射実験で、中距離弾道ミサイルを完成させたと思われます。この時発射された中距離ミサイルのデータは、長距離弾道ミサイルに転用できますので、今すぐ実験ということにはならないと思いまいすが、10月10日の朝鮮労働党70周年記念日になんらかの行動を起こす可能性があります。さてここからが問題です」
「当然ですが、政府は長距離弾道ミサイルである火星14型が10日10日前後に日本越えで発射され、太平洋上に着弾するというシナリオを想定しています。この場合、米国はたとえ長距離弾道ミサイルだったとしても、グァム、サイパンに向けられたものでなければ、再び対北朝鮮制裁を強化するだけで、軍事的オプションを実行することはないとの情報を得ています」
「ところが、これが水爆実験となると話は別です。実は、北朝鮮が太平洋上で水爆実験を行なった場合、米国は民間被害者を作ろうと工作しているという情報があります。つまり、漁船などが直接被害を被るという場面を創出させ、国際世論を動かし、米軍による軍事行動に正当性を持たせようとする工作です。
これは、1952年の米国による水爆実験で被害を受けた第五福竜丸の事件をヒントにしたものだと思われます。そうなると、米朝が本格的に軍事衝突する可能性が飛躍的に高まりますので、非常に危険な状態になります。ただ、水爆実験については李外相が個人の予測として言及したという体裁を取っていますので、いつでも変更可能なところが救いです」
「問題は、北朝鮮の行動は、ある程度読めるのですが、トランプ政権の動きがなかなか見えてこないということです。この点については、日本政府も頭を悩ませていて、今年の11月に予定されている日米首脳会談で、どの程度アメリカの意向が確認できるかが最大の関心事だと思います。
何れにしても、米国は北朝鮮に対する軍事的オプションの実行に向け、本格的な準備には入っているという情報もありますので、北朝鮮の今後の出方と、水面下の米朝交渉の進展状況によっては、来年早々にも軍事衝突があり得ることは否定できないと思います」
この人物が語るには、軍事的オプションの可能性も残しながら、当面、米朝は舌戦での応酬が続くだろうとのことだ。そして、舌戦でのあおりを受け、日本のメディアは盛んに北朝鮮危機を助長するかのような報道が続き、さらにその影響を受けて、日本国民が翻弄されるという状態が続くだろうと語った。
その証拠に、安倍首相は北朝鮮危機を巧みに利用し、危機に強い政権をアピールして支持を集める戦略で解散総選挙に打って出ている。
それともう一つ、北朝鮮危機の陰でトランプ政権の支持母体であるユダヤ系米国軍産複合体による武器ビジネスの活況があるという。それは、こういうことだ。危機を煽れば煽るほど米国製武器が売れる。
「この危機を受けて日本政府はミサイル迎撃システムであるイージスアショア(1機約800億円)2機を購入することを決定した。そして、先日、トランプ大統領は「これから同盟国に武器を売却する」と明言している。
ということは、北朝鮮危機は、日米朝の政府にとって利益になっているともいえる。水爆実験が本当に行われれば、軍事衝突が現実味を増すが、それもこれもすべてフェイクだとすると、最終的に、「国民の税金が米国の高額な武器購入に充てられ、米国の言い値で大量に購入させられただけ」という状況になりかねません」
それはそれで恐ろしい。実は、米朝は水面下で話し合いがついていて、実際、危機なんていうのは存在しなかったというのは、あまりに日本国民を馬鹿にしているということになりはしないか。日本政府は、事実をしっかり見極め、国防を強化しつつ、国富の無駄な流出も防がなければならないだろう。 トカナより
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