画像は「Daily Mail」より引用
■未来の蘇生に期待して人体を冷凍保存する葬儀屋
文明がもっともっと発展した未来にタイムスリップしたいと誰もが一度は夢想したことがあるのではなかろうか。数十年後、数百年後、あるいは数千年後の人類は思想とテクノロジーの両面で大きく飛躍を遂げていることだろうし、そんな未来社会を確認できたら、それはさぞかし興味深く、またエキサイティングであるに違いない。現在、そんな不死とタイムスリップという全人類共通の二大夢見事を、近い将来現実のものとするかもしれない、あるロシアの企業が世間の注目を集めている。そしてなんとその企業は、皮肉にも、葬儀屋である。
そのかなり特殊で異様な葬儀を執り行うのは、モスクワを拠点としているKrioRus社だ。同社は遺体をすでに冷凍保存している。利用者は文明のさらなる発展を遂げた未来の人類が、冷凍保存された自分の死体を解凍し、蘇生させてくれることに期待している。2003年の創業以来、2017年8月31日時点で、すでに54人の身体と脳みそを冷凍保存した実績があるという。
さて、未来の蘇生に期待して人体を冷凍保存するという発想は、実はそんなにとっぴなものではない。アメリカでは早くも1970年代から人体冷凍保存の研究と実行を目的とした非営利団体も存在していたり、2002年に亡くなった元ボストン・レッドソックスの英雄テッド・ウィリアムズがいつの日か生体に移植されるようにと、その頭部が冷凍保存されているのは有名な話だ。市井の人もめいめいの事情と信条で冷凍保存され、それがニュースになって世界を駆け巡ることも珍しくない。読者諸兄も一度や二度は、その手の報道を見聞きしたことがあるのではないだろうか。「Daily Mail」の記事より
■ロケットで宇宙へ打ち上げた遺体は人工衛星にのって地球の軌道上をまわり続ける?
ではいったいなぜ、いまこのKrioRus社がにわかに世間の耳目を集めているのか。その理由は先日同社が発表した計画にある。なんと、今後は冷凍保存した遺体をロケットで宇宙空間にぶっ放し、地球の軌道上の人工衛星で保存しようというのである! これぞまさにロシア! やっぱりロシアはこうでなくちゃ!
全体の流れはこうである。画像は「Daily Mail」より引用
1. まずは依頼者の死亡が公的・法的に認められなければならない。医師による正式な死亡宣告が必要だ。このステップをすっ飛ばして冷凍保存に突入すると、それは法的には殺人になってしまうからだ。
2. 理想的には心停止から2分以内、遅くとも15分以内には“処置”を始めなければならない。まずは腐敗を防ぐために遺体は氷で冷やされ、血液凝固を防止する薬剤が注入される。
3. 冷凍保存施設に移送され、そこで遺体はほぼ0度にまでさらに冷却される。同時に体内の血液は全て抜かれ、そのかわりに臓器を良好な状態で保存するための特殊な薬剤や、体内の水分の結晶化を防止する薬剤が注入される。
4. 遺体は特殊なコンテナに収容され、そのコンテナは液体窒素で満たされたタンクに入れられる。そうやって絶対零度を保ったまま保存されるのだ。5. ロケットで宇宙に打ち上げられ、地球の軌道をまわる人工衛星の中で未来の蘇生に備えて眠り続ける。
4から5の間のギャップがなかなか強烈だが、これがロシアだ。そういうものなのだろう。きっとそうだ。KrioRus社はこの計画の詳細や技術的なことについては、現時点では多くを明かせないとしているが、宇宙空間であれば、万が一、地球で核戦争が起きても大丈夫だし、自然災害とも無縁だし、あらゆる未来のリスクを回避して、安心して(?)眠り続けられるに違いない。これは案外とても合理的な方法なのかもしれないと筆者は思い始めている。「Daily Mail」の記事より
気になる費用だが、同社ウェブサイトによると、遺体の冷凍保存は全身で3万6000ドル(約400万円)、脳みそだけだと1万8000ドル(約200万円)で請け負っているという。また、ペットの冷凍保存も受け付けており、小さい猫くらいだとおよそ1万ドル(約110万円)、大型犬(50kg~70kg)で2万5000ドル(約275万円)くらいらしい。気になる方は検討してみてもいいかも? ちなみに専門家によると、今後、冷凍保存した遺体を解凍して無事に蘇生させる技術が開発される見込みは基本的にないとのことである。 トカナより
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