中国企業が、日本の特撮ヒーロー「ウルトラマン」を使ったアニメ作品を、生みの親である円谷(つぶらや)プロダクション(東京都渋谷区)に無断で製作すると発表。円谷が「法的措置を含む断固とした措置をとる」と抗議の声明を発表するなど騒ぎになっている。ウルトラマンは光の国から地球を守るためにやって来た設定だが、“中華ウルトラマン”は、どこから飛んできたのか。
警告したにもかかわらず
この中国企業は「広州藍弧文化伝播有限公司」という映像製作会社で、7月10日に北京で「鋼鐵飛龍之再見奥特曼」という3Dアニメを製作すると発表した。
ご丁寧にもと言うべきか、7月10日は「ウルトラマンの日」。1966年の同日、「ウルトラマン」テレビ放送第一回(同年7月17日)まで1週間を記念したイベントが行われたのが由来だ。
「奥特曼」は「ウルトラマン」の簡体字表記。「鋼鐵飛龍」は、「ドラゴンフォース」という既存の3Dアニメのことで、この新作にウルトラマンが客演するようだ。
なお、「ドラゴンフォース」は、2013年に日本で劇場公開されている。当時中国・広州市を拠点にしていた日本人アニメ監督が総監督を務めた。同監督は7月17日に短文投稿サイト「ツイッター」に「僕が関与していないのは勿論の事、『鋼鉄飛龍』の制作会社、スタッフとも全く関係ありません」と、こんどの中華ウルトラマンおよび「ドラゴンフォース」への関与は否定している。
関係者によると、円谷プロは昨年から中国側のこの動きを把握。警告書を送るなどしてきた。
しかし、中国側は、これを無視し、「ウルトラマンの日」にぶつけて製作発表を行った。
寝耳に水の円谷プロは7月19日に大岡新一社長名義で「中国におけるウルトラマンキャラクターを利用した無許諾映像作品の製作発表について」と題した抗議声明を発表した。
大岡社長は、「発表会及び映像におけるウルトラマンキャラクターの利用方法、態様等は、ウルトラマンブランドを著しく毀損(きそん)し、断固として非難すべきものであり、到底認められるものではありません」と非難。「本件発表を行った中国企業、および本件映像製作に関与している者に対し法的措置を含む断固とした措置をとってまいる所存です」としている。
ウルトラマンをめぐる海外における複雑な争い
中国企業側は、中国の大手交流サービス「微博(ウェイボー)」に、中国内の著作権の帰属に関する「民事裁定書」や「著作権声明書」などを投稿して「正当な権利を主張する」と円谷プロに反論している。
実はウルトラマンシリーズは初期作品の海外での利用権が誰にあるかをめぐって、複数の国で長期間にわたって係争になっている。
76年に円谷プロがタイ人企業家と交わしたとされる利用権譲渡の契約書が発端。タイの警察が契約書は偽造と認定したが、他国の司法判断に影響を及ぼさず、判決がまちまちなのが実情だ。
さらに、このタイ人企業家から海外での利用権を再譲渡されたと主張する日本企業が存在。事態を複雑化させている。
中国企業側が交流サイトに投稿した「著作権声明書」は、この日本企業から利用権を得ていると宣言する文書だ。中国の大手映像企業「楽視影業」も名を連ねている。
ただ、円谷プロは「これまでに出されたいずれの判決も、一貫して当社がすべてのシリーズ作品の製作者であり、その著作権を保有している点が認められている。著作権者は、いずれの国の判決に従ったとしても、一貫して当社」と突っぱねる。
中国人ファン「これはひどい」
インターネット上では、中国企業側への非難の声が圧倒的だ。中国国内からでさえ、「これはひどい」「権利侵害だ」などの書き込みが目立つ。
北京の製作発表のもようは動画共有サービスにも投稿されたが、その場に登場したウルトラマンの容姿には非難が集まった。
実際の作品はアニメだが、発表会では司会者に呼ばれて人間がふんしたウルトラマンが現れた。あごが妙にとがっている上、素肌に直接模様を描いているように見え、実に奇妙な印象を与えた。
7月27日に「ウルトラマンダイナ」の放送から20周年を記念して開かれたイベントでは「ダイナ」で主演した俳優、つるの剛士さん(42)が、「ニセのウルトラマン、やっつけに行かなきゃ」と冗談めかして中華ウルトラマンに言及。
「あの件で中国の方からも『あんなの許せない』とかいっぱいメッセージをいただきましたよ。やっぱりウルトラマンは世界で愛されているんだなと思うと心が温まりました」と明かした。
なお、「ウルトラマン」には、第18話でザラブ星人が変身した正当なキャラクターである「にせウルトラマン」がいる。熱心なファンは、この中華ウルトラマンを、「にせウルトラマン」と呼ぶことすらはばかられるという。
円谷プロは、発表会用に中国企業が作った資料映像の中に、ハワイ州観光局に協力して作ったウルトラマンの映像などが無断で使われていることも指摘している。
本物のウルトラマンが飛んできて3分以内に解決する、というわけにはいかなそうだ。
●円谷プロダクション 1963年、「円谷特技プロダクション」として設立。創立者は「特撮の神様」と呼ばれた円谷英二氏(1901~70年)。ウルトラマンシリーズのほか、「ジャンボーグA」「怪奇大作戦」「マイティジャック」「ミラーマン」など、数々の特撮作品で知られる。何度か経営母体が変わっており、現在はコンテンツ関連ビジネスや遊技機の企画開発・販売を手掛ける「フィールズ」の連結子会社。
●中国とウルトラマン ウルトラマンシリーズは中国でも人気は高い。日本で7月から放送が始まったばかりの最新作「ウルトラマンジード」は、百度(バイドゥ)傘下の動画配信サイト「愛奇芸」、動画配信サイト「テンセントビデオ」、ポータルサイトの「捜狐」など中国大手インターネットサービスを通じて公式に配信され、ほぼリアルタイムで楽しまれている。
●海外生まれのウルトラマン マレーシアの「ウルトラマンリブット」は、円谷プロと正式な契約を交わした海外生まれのウルトラマンだ。同国の国民的アニメ「ウーピン&イーピン」にゲスト出演した。
「嵐」を意味する「リブット」と名付けられ、宇宙の災厄から生命を守るために戦う戦士という設定。さまざまな必殺技の設定なども、正当なウルトラマンらしい。嵐には大自然への敬意という意味が込められている。
アニメでの登場以降、マレーシアではウルトラマンリブットのショーなども行われており、日本でもマレーシア発ウルトラマンとしてファンに認識されている。
産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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