2017年8月16日水曜日

ニッポンの空支えるのは実は「ブラジル機」 日の丸ジェットMRJの出番は

日本の国内航空で、ブラジル航空機大手エンブラエルの機体が存在感を高めている。エンブラエルは、米ボーイングや欧州エアバスに次ぐ世界3位の航空機メーカーで、100席以下の小型機を主力とする。日本で国産初となる小型ジェット旅客機、MRJ(三菱リージョナルジェット)の開発が遅々として進まない中、ブラジル機は日本の空で勢力を伸ばしている。

小型機で世界シェア半分以上

エンブラエルは1969年にブラジルの国営企業として設立された。ボーイングやエアバスが大型機で開発競争を繰り広げる中、エンブラエルは政府からの手厚い援助を受けながら小型機の製造を続けた。

経営危機を経て94年に民営化。原油価格の高騰などで燃費に優れる中小型機の需要が世界的に拡大したのを追い風に成長した。地方都市間を結ぶ「リージョナルジェット」用の小型機では世界シェアの半分以上を占め、ブラジル最大の輸出企業となっている。

日本航空は2008年にエンブラエルから小型機「E170」(76席)を初めて導入し、大阪(伊丹)空港を拠点にする子会社のジェイエアが地方路線で運航を始めた。16年からは「E190」(95席)も導入。現在はE170を17機、E190を7機運航する。

E190では追加料金が必要な上級シートの「クラスJ」をジェイエア運航路線で初めて導入し、伊丹空港と秋田や仙台、長崎、鹿児島などの各空港を結ぶ路線に就航している。

日航以外にも静岡空港を拠点にする地域航空会社フジドリームエアラインズが「E170」(76席)と「E175」(84席)を計11機導入している。

日航で機長を務める●(=雨かんむりに鶴)谷忠久さんは「操縦するときのくせがなく、安心感が大きい。燃費も含めて小型機としては必要十分な性能がある」と話す。伊丹空港の格納庫で整備を担当する柴田俊雄さんも「整備しやすく、故障の少ない信頼性の高い機材だ」と強調する。

弱り目にたたり目のMRJ

日航の地方路線の主力機になりつつあるエンブラエルだが、一方で日航はMRJを32機発注しており、将来的にはエンブラエル機はすべてMRJに置き換える計画を立てている。


ただMRJはこれまでに納期を5度も延期しており、初号機の納入は当初計画から約7年遅れの20年になるとみられる。しかも初号機は全日本空輸に引き渡されるため、日航が受け取るのはさらに先になる見通しだ。

日の丸ジェット」として国内製造業からの期待を一身に背負うMRJだが、計画の遅れから開発する三菱航空機(愛知県)は17年3月期決算で負債が資産を上回る債務超過に陥った。債務超過額は510億円に上る。

MRJの最大のウリは米プラット・アンド・ホイットニー製の最新エンジンを搭載し、燃費性能が従来機に比べて約2割高いことだ。しかし、エンブラエルも同じエンジンを搭載した新型機を開発中で、MRJより約2年早い18年にも市場投入する予定。航空機は信頼性と実績が重視されるため、後発のMRJにはただでさえ厳しい市場だが、性能の優位性すら失う可能性がある。

ジェイエアの中村智取締役は「エンブラエルの機体、特にE190は搭乗客から好評をいただいている。現状の機材でしっかりと運航していきたい」と話す。MRJの開発遅れで、当面はエンブラエル機が地方路線で活躍を続けそうだ。  産経WESTより

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