聯合ニュースによれば、韓国青瓦台(大統領府)の金宜謙(キム・ウィギョム)報道官は30日、記者らの携帯電話にメッセージを送り、北朝鮮の金正恩党委員長のソウル訪問について次のように説明したという。
「いくつかのシナリオを準備している」
「あらゆる可能性を考慮して話し合っており、決定したものはない」
韓国では青瓦台が12月13~14日ごろに金正恩氏のソウル訪問を推進中とする報道が出ており、これに対応したコメントと見られる。
金正恩氏は、9月に平壌で行われた南北首脳会談で、近いうちに韓国を訪問する意向を表明。韓国政府は当初、年内の訪韓実現を目指していた。しかし金宜謙報道官は26日の記者会見で、北朝鮮の金正恩党委員長の訪韓時期について、「さまざまな可能性をすべて踏まえて議論中」と述べ、今のところ見通しが立っていないことを示唆したばかりだ。
韓国政府はいったい、どういうつもりなのか。そもそも12月中旬には、国連総会本会議で北朝鮮における人権侵害を非難し、状況改善を求める決議が採択される見込みだ。韓国政府も、賛成する姿勢を示している。
恐怖政治で体制を維持している北朝鮮にとって、人権問題は非核化よりいっそう敏感な問題だ。国連で非難決議が採択されたばかりのタイミングで、どうした金正恩氏のソウル訪問が実現できるのか。
現に朝鮮労働党機関紙の労働新聞は29日付の論評で、韓国を次のようにけん制した。
「同族を陥れる『決議案』のつくり上げに介入し、それが採択された後には『共に参加』だの、『歓迎』だのとして、反朝鮮『人権』騒動に加担した南朝鮮(韓国)当局の行為も看過できない。
米国と南朝鮮当局は、せっかくもたらされた朝米・北南関係改善の局面でむやみに軽挙妄動すれば、全てのものが水泡に帰すということを銘記し、分別のある行動を取る方がよかろう」
人権攻勢に加わるのを止めなければ、南北対話の破たんもあり得ると示唆しているのだ。
こんな状況でなお、青瓦台が金正恩氏の訪韓に期待する背景には、9週連続で文在寅政権の支持率が下落し、初めて50パーセントを割った危機的状況がある。この窮地を、金正恩氏の力を借りた「お祭り騒ぎ」で乗り切ろうという魂胆ではないのか。
しかし仮にそれが可能であるとしても、韓国は北朝鮮に大きな「借り」をつくる。そうなってしまっては、核問題でも人権問題でも、正当な主張が難しくなるというものだ。
デイリーNKジャパンより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年12月1日土曜日
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