神戸大学大学院法学研究科教授・簑原俊洋
シンガポールで本稿をつづっている。同地で毎年この時期に開催されるアジア安全保障会議(シャングリラ対話)という国際会議に出席するためである。今年は参加国および国防相の参加が過去最多となった。
基調講演者としてインドのモディ首相が初めて登壇したうえに、史上初となる米朝首脳会談の開催が間近に迫っていることもあり、会議は例年以上に熱気が籠もった。北朝鮮の非核化問題では休憩時間の話題もさらい、参加者の中での関心の大きさを如実に示した。
一方で今回の会議は、今までになく重い空気にも包まれた。それは国際安全保障の環境が重要な局面を迎えようとしているからであり、主な要因は米国と中国という2大国のふるまいに集約されよう。
米国は同盟国を軽視し、世界のリーダーとしての責任を全うする意志を喪失している。そして中国は法による支配をないがしろにし、自国に有利な新たな現実の構築に躍起になっている。ともに自らの狭い国益の追求に邁進(まいしん)しており、世界は固唾をのんで米中の行動がもたらす余波を不安視しているのである。
この国際政治の転換期において、今年は中国と他国との見解の相違がひと際目立った。中国側の参加者は自信を誇示して傲慢な態度を取り、中国の政策を批判する者には容赦ない反論を浴びせる。
同国の孤立が増そうとも強気に構える中国人の姿勢は多くの参加者に悲壮感を漂わせ、軍人を除く専門家の間でこの行く末は戦争なのではとの声が聞かれるほどだった。当然、国際政治の方向性をここまで悲観すること自体が尋常ではなく、南シナ海における領有権問題や、さらには露骨な「借金外交」による利権拡大など、深刻な中国外交の現状がひしひしと伝わった。
こうした時代だからこそ、国際ニュースは死活的に重要だ。メディアをにぎわしたアメフット問題で1大学のブランドが失墜したとしても、国家は安泰である。しかし国際情勢はそうはいかない。中国がルールを無視した「反則タックル」(武力による現状変更)を突如行えば、日本の安全保障を根本から脅かす状況を引き起こしかねない。
日本は戦後長らく平和のバブルの中にいた。バブルの外で展開されている現実をメディアが正確に伝え、国民に時代を読み取る力を涵養(かんよう)させなければ、刻一刻と変化する世界情勢から日本人一般の意識は取り残されてしまう。
社会や政治のニュースと比較すれば一般読者の関心は低く、収益性の観点からも魅力は少ないかもしれない。しかし筆者は各紙の国際ニュースの扱いが小さくなっていくことに強い危機感を抱く。安保会議の現場から日本を見てその感をより強くした。バブルの破裂は突然訪れるのだから。産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年6月10日日曜日
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