2018年4月5日木曜日

北朝鮮の非核化、米国が主張する「リビア方式」 韓国、否定的な声も

米朝首脳会談を前に北朝鮮の非核化をめぐり、米国が主張する核廃棄のリビア方式に注目が集まっている。ただ韓国政府高官からは、北朝鮮が非核化に関連し表明した「段階的で同時並行的な措置」(制裁緩和)を擁護する声も出ており、今月27日開催の南北首脳会談では「段階的核廃棄」を南北がアピールする可能性がある。
 
米国がリビア方式をモデルにする理由は、「完全かつ検証可能で不可逆的な核解体」(CVID)の成功例としてみているためだ。リビアの最高指導者、カダフィ大佐が核兵器を含む大量破壊兵器放棄を表明したのは2003年12月。その3日前に逃走中だったイラクのサダム・フセインが米兵に発見され逮捕されたことも影響したとみられる。

追い詰められたカダフィは、放棄表明を英米の情報機関に行った。米国は英国と協力し、中央情報局(CIA)と英秘密情報部(SIS、通称MI6)が中心となり廃棄任務を行った。リビアは核拡散防止条約(NPT)に加盟しながら、これに違反して核開発を行っていたため、国連傘下の査察機関、国際原子力機関(IAEA)が査察任務を担った。

しかし「米英は査察でIAEAに主導権を取らせなかった。国際機関は強制力が弱いとの判断だった」(島田洋一・福井県立大学教授)。

特徴的なのは核・ミサイル装備、関連機器を船舶で米テネシー州のオークリッジ国立研究所に運搬して解体したことだ。核兵器の運搬手段であるミサイル、スカッドC(射程700キロ)まですべて米国に運んで解体し、徹底した無力化を行った。さらに、申告以外の疑惑の施設もすべてに査察を要求し、カダフィはこれを受け入れた。

北朝鮮の核廃棄にもこのリビア方式を採用することを、対北強硬派のジョン・ボルトン元国連大使が提案。同氏が先月22日、大統領補佐官(国家安全保障問題担当)に指名されたことで実現性が高くなった。

韓国は「段階ごとに米国はリビアに対して制裁解除した。すべてが核廃棄の後ではない」と主張しているが、米国はリビアに対し核とミサイル別々に制裁を掛け、解体が終了した段階でそれぞれの制裁を解除しており、検証途中での解除はない。

韓国高官からは、リビア方式に否定的な声も出ている。「検証には時間がかかる。(非核化の)包括合意で段階的な履行しか解決方法はない」(文在寅韓国大統領の統一外交安保特別補佐官、文(ムン)正(ジョン)仁(イン)延世大名誉教授)とし、廃棄前でも「韓国と中国が国連安全保障理事会に制裁緩和を要請することもできる」などと主張。北朝鮮が求める「同時並行的な措置」に、理解を示している。産経ニュースより

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