世界人口の5分の1が暮らす南アジア地域では、地球温暖化に歯止めをかけるための対策を何も講じなければその高気温と高湿度がさらに進み、今世紀末までに人が生存できないレベルに達する恐れがあるとする研究結果が2日、発表された。
米科学誌「サイエンス・アドバンシズ(Science Advances)」に掲載された論文は「人が防御(手段)なしで生きられる温度と湿度の水準を超える夏の熱波」について警鐘を鳴らしている。
米マサチューセッツ工科大学(MIT)などの研究チームが行った今回の研究は2つの気候モデルに基づいている。一つは、気候変動を食い止めるための措置をほぼ何も講じない「成り行き(BAU)」シナリオで、もう一つは2015年のパリ協定(Paris Agreement)の下で世界190か国以上が合意した「気温上昇幅を2度未満に抑える」ことを目標とするシナリオだ。
気温だけでなく「湿球温度」の予測を調査対象としたのは、この種の研究としては今回が初めてだ。湿球温度は、気温および湿度とそれに応じた冷却能力を組み合わせたもの。
人が生存可能な湿球温度の限界値は35度と考えられている。
論文によると、BAUシナリオの下では「今世紀末までに、湿球温度が南アジアの大半で生存限界値に近づき、いくつかの地域では限界値を超えると予測される」という。
南アジアでこの多大な弊害をもたらす湿球温度にさらされる人口の割合は、現在の0%から約30%にまで上昇すると、論文は指摘している。特に人口密度が高い農業が盛んな地域では最悪の影響が生じる恐れがある。これは労働者らが冷房の効いた環境に避難する機会がほとんどないまま、暑さに耐える必要があるためだという。
「危険な猛暑が早ければ数十年以内にインド、パキスタン、バングラデシュなどの地域を襲い始める可能性がある。この中には、同地域の食糧供給の大半を支える肥沃なインダス(Indus)/ガンジス(Ganges)川流域も含まれる」と、論文は述べている。
■緩和策は有意
インドには12億5000万人、パキスタンとバングラデシュには3億5000万人が暮らしている。2015年、インドとパキスタンの広い地域に熱波が押し寄せ、約3500人が死亡した。これは近代史上で5番目に大きな被害規模となった。
だが研究チームによると、今回のモデルは希望の光ももたらしている。今後数十年にわたって温暖化抑制対策が講じられるシナリオの下では、有害な湿球温度にさらされる人口の割合は現在の0%から2%の増加にとどまると考えられるという。
このシナリオでも気温は(31度を上回る)危険な水準に達するとみられるが、人間の生存を脅かす限界値にはそれほど近づくことはないと考えられる。
論文の主執筆者で、MITのエルファテ・エルタヒール(Elfatih Eltahirhe)教授(環境工学)は「公衆衛生と猛暑の軽減という観点では、緩和策は有意だ」と話し、「緩和策を講じることで、これらの深刻な予測が回避可能になることが期待できる。これは避けられないことではない」と説明した。(c)AFPより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年8月3日木曜日
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