2018年4月5日木曜日

韓国・解消しない雇用不安、今度はGM工場閉鎖で大量失業の心配

韓国の文在寅大統領が就任して5月で1年を迎える。雇用安定を公約に掲げ、若者から支持を得た文氏だったが、失業率の改善の勢いは乏しく、不安の解消には至っていない。そこにきて、最近では、米ゼネラル・モーターズ(GM)の韓国法人が経営不振に陥り、大量失業への懸念が強まっている。雇用改善や格差是正への期待が大きかった文政権だけに、労働政策で明確な成果を上げられなければ、支持を失いかねない。
GMショック、10万人規模の雇用に影響か
 
韓国GMが、稼働率が低下していた韓国西部、全羅北道の群山工場の閉鎖を発表して約2カ月。ほかの韓国内の工場の閉鎖も選択肢に入れるGM側に対して、労働組合側は雇用継続を求め、交渉を続けているが、妥協点に着地できても一定のリストラは避けられない情勢だ。

ロイター通信が2月に報じた内部文書によれば、米GMは、韓国GMで働く上級の幹部従業員らを3割超、国際業務幹部は4割超、管理職級は2割減らすことを計画。従業員の早期退職も促した。

GM側は4月20日までに再建策がまとまらなければ、経営が行き詰まる恐れがあるとの見方を示しており、リミットが近づいている。
韓国GMが完全撤退した場合、雇用への影響は大きい。自動車メーカーは産業のすそのが
広く、部品メーカーだけでなく、サービスや小売業にも影響が及ぶからだ。

中央日報(日本語電子版)は、就業者が9万4000人も減少するとの研究機関の分析を報じた。

この数字が現実になれば、今年2月の韓国の就業者数の増加幅を打ち消すほどの規模に匹敵する。

失業率、再び4%台

雇用の改善はまだ道半ばだ。

韓国の2月の失業率は4・6%。20~29歳の若年層の失業率は9%台にあり、高止まりしている。人口減少で労働市場から退出する人が増えていくことを踏まえれば、人手不足感が強まるはずだが、労働需給は切迫してはいない。

2月の就業者数は2608万3千人で、前年同月に比べた増加幅では10万4千人にとどまり、8年ぶりの低水準になった。

企業が雇用を絞り込んでいる様子がうかがえる。政府は国民の所得向上を狙って最低賃金の引き上げに挑んだが、その反動が、就業者数に跳ね返った可能性も指摘される。

GMの救済は

韓国では2014年以降、緩やかに失業率が上昇している。

経済協力開発機構(OECD)によると、2017年の韓国の平均失業率は前年より0・2ポイント悪化し、3・73%だった。聯合ニュースによると、OECD加盟国中、失業率が悪化したのは韓国とチリだけ。4年連続で10%台にあった若年層の失業率の高さが際立った。

若年層の雇用が厳しいのは構造的な問題がある。

60歳定年が義務化され、シニア層の就労者が労働市場に長く残るようになった。そのあおりを受けて、若年層が就業チャンスを得にくくなっている。もともと中小企業の基盤が薄いため、財閥系を中心とした大企業の雇用の縮小が失業に直結しやすい。製造業の国内回帰の動きは鈍い。

雇用問題について、中央日報は「規制を緩和しなければ雇用問題の解決は難しい」とする有機者の意見を紹介。企業の成長性を重視した政策を求める声は多い。

韓国GMの経営再建をめぐっては、経営の改善に政府の支援を要求している。しかし、税金を投入するような事態になれば、「大企業を優遇している」との反発をかう恐れがある。救済は、格差是正や財閥改革を掲げてきたこれまでの文氏の姿勢との矛盾をつかれかねない。現実にそった政策をとるのか、公平の原則をつらぬくのか。政権2年目を前に迫った難題だ。産経WESTより

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