中国が可能な対北朝鮮制裁
ヘイリー米国連大使は7月30日、「中国は最終的に重要な措置を取りたいのか決断すべきだ。話し合いの時間は終わった」との声明を発表、北朝鮮への大幅な制裁強化に同意するよう中国に迫った。エストニアを訪問中のペンス米副大統領も同日、「中国はもっと行動すべきだ」と述べた。
一方、中国共産党大会を秋に控え、権力闘争の真っただ中にある習近平国家主席にとって、いま必要なのは国内外の安定。北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権を刺激したくないのが本音だ。
中国としても、最も効果的な対北制裁は北朝鮮が90%以上を中国に頼る原油・石油製品の禁輸措置であることは分かっている。だが、それだけに北朝鮮が報復措置を取ってくるのは確実で、「安定重視」の習政権には認められない。最大のカードを保持しておきたいとの思惑もある。
中国の制裁措置として想定されているのは、(1)人道目的で継続している鉄鉱石の輸入を石炭同様、全面的に禁止する(2)約1万9千人ともいわれる中国国内の北朝鮮労働者の滞在許可を一部取り消すなど管理を強化する(3)北朝鮮の核・ミサイル開発を支援する中国企業を摘発する-などだ。
このうち(1)と(2)は北朝鮮の外貨獲得源に直接ダメージを与えるもので北朝鮮の強い反発は避けられない。実施するとしても非公式に行いたいところだろう。
(3)については、北朝鮮と取引のある中国企業は中朝国境周辺に集中しており、取り締まりを強化すれば地域経済へ悪影響を及ぼす可能性がある。また中国は、国連の制裁対象に指定された北朝鮮の個人・企業と取引のある中国企業はもう存在しない-との立場だ。
そもそも中国は、国連安全保障理事会の枠組み外の独自制裁は認めないと主張してきている。国連の枠組み内であれば、常任理事国である中国も制裁内容に影響力を行使できるからだ。
このため、従来の立場を捨てて独自制裁に踏み切ることは中国としてメンツが立たない上、それだけ北朝鮮の反発も大きくなる可能性が高い。 夕刊フジより
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