世界屈指の名門大学である米ハーバード大学に対して、アジア系の入学志願者を差別しているとの指摘が広がっている。アジア系の志願者は学業面での成績がトップクラスでも入学を認められないとしており、トランプ政権は今月、この問題の調査を進めることを明らかにした。一方のハーバード大は入学選考での人種の考慮は差別にはあたらないと主張。ただし米国にはハーバード大より遙かに多くのアジア系学生がいる一流大学もあり、論争は過熱しそうだ。
「ハーバード大の差別的な方針がアジア系米国人に害をなしている」
米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の客員研究員、エドワード・ブラム氏は8日の米紙ワシントン・ポストへの寄稿で同大の入学選考を厳しく批判した。
ブラム氏によると、同大の入学者に占めるアジア系の比率は1990年代半ばから2013年まで一貫して10%台後半で推移。しかし同氏は「この数十年間、アジア系出願者数は大幅に増えていた」とし、アジア系が不当に入学を拒否されている可能性を示唆する。
こうした懸念を背景に、司法省は1日、問題調査のための人材確保を進めていることを公表した。調査はアジア系の64団体が15年に司法省に提出した告訴に基づき、同大の入学選考で不当に人種が考慮されているかどうかを判断する。64団体の大半は中国系だが、インドや韓国、パキスタン系の団体も含まれている。
アジア系の入学が認められにくい現実は学術研究でも示されている。プリンストン大学の研究者らは09年、米国の一流大学の入学専攻を調査し、アジア系の志願者が合格するには学力試験SAT(1600点満点)で、白人に比べて140点高い点を取らねばならないと結論づけた。アジア系学生からは「SATがほぼ満点で、学業外の活動での評価が高くてもハーバードには入れない」との声もある。
一方のハーバード大はこうした批判に真っ向から反論する。同大は公民権運動後の1970年代には入学選考に人種を考慮するようになっていたとされ、「学内の多様性を確保するための正当な手法だ」との立場だ。連邦最高裁判所は昨年6月、テキサス州の州立大学での入学専攻に関して、人種を考慮することを合憲とみなしている。
ただし入学選考での人種の考慮を禁じているカリフォルニア州の一流大学では、アジア系の学生の割合が40%を超えるケースもあり、アジア系学生比率の適正水準を明確に示すことは難しい。米紙ウォールストリート・ジャーナルは7日の社説で、「名門大学の入学選考の実態は、より詳細な調査に値する。アジア系米国人の志願者についてはなおさらだ」と主張している。 産経ニュースより
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2017年8月24日木曜日
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