韓国の自動車最大手、現代(ヒュンダイ)自動車の成長に急ブレーキがかかっている。最重要市場の中国で傘下の起亜自動車と合わせたグループ販売台数が今年上半期(1~6月)に前年同期からほぼ半減。米国や国内市場の不振も続いている。中国販売の急減は、米軍の最新鋭迎撃システム「高高度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に対する中国側の報復措置の影響と、現代自は説明しているが、現代車自体の競争力の低下を指摘する見方も浮上。八方ふさがりの現状にもかかわらず、現代自の労働組合は6年連続のスト実施を決めており、サムスン電子とともに韓国の製造業を代表するガリバー企業は「自壊」の危機にひんしている。
「未来の成長地域として浮上する重慶市に、環境にやさしい最先端のスマート工場が建設された。中国の消費者のために高品質の新車を生産する」
現代自の鄭義宣(チョン・ウィソン)副会長は19日、中国重慶市で開かれた同社の重慶工場の完成記念式典でこうアピールした。
同工場は現代自にとって中国で5番目の生産拠点となり、来月から稼働する。年間生産台数は約30万台で、今年は小型車を中心に生産する予定という。韓国経済新聞などが報じた。
式典には重慶市の関係者なども参加。聯合ニュースによると、鄭副会長の今回の訪中には、中国内の現代自をめぐる雰囲気を直接探るとともに、中国当局関係者に販売回復への協力を求める狙いもあったようだ。
中国市場の現状に対する同社の危機感は強い。現代自は先月、対策づくりのために150人規模のタスクフォース(特別)チームを立ち上げた。
6月の中国での販売は、現代自が前年同月比64%減の約3万5000台、起亜自が62%減の約1万7000台で、グループ全体では63%減の5万2000台という激減ぶりだった。
現代自にとって中国市場はグループの世界販売の2割超を占める“お得意様”だ。しかし、3月以降、グループ販売台数は50%以上の減少が続いており、上半期では46.7%の減少となった。
韓国国防省が米軍に供与するTHAADの用地を決めたのは2月。現代自の中国販売の急減は同社の説明するように、THAAD配備を受けた韓国製品の不買運動が主因とみて間違いないだろう。
ただ、韓国内では、現代車の根本的な競争力低下が販売減に拍車をかけたと懸念する声もある。
聯合ニュースによると、韓国政府系シンクタンクの産業研究院は6月18日に発表した報告書で「今年上半期の韓国自動車メーカーの中国市場での販売減少率は、2012年にあった(尖閣諸島をめぐる)中日間の問題で日本車が受けた打撃よりも大きい」とし、「単純にTHAAD問題というより、韓国メーカーの競争力低下が中国市場で苦戦している原因だ」と指摘した。
実際、現代自の不調は中国市場にとどまらない。中国に次ぐ米国市場の失速も鮮明だ。
6月の米国での販売は、グループ全体で前年同月より15%程度減少。上半期は前年同期比8.6%減の64万2096台となった。
同期の海外販売全体でも、現代自が9.3%減の185万3559台で、起亜自も9.9%減の106万4381台と落ち込んでいる。
おひざ元の国内販売も低迷している。上半期は現代自が1.8%減の34万4783台で、起亜自も7.6%減の25万5843台。国内と海外を合わせると、現代自が8.2%減の219万8342台、起亜自が9.4%減の132万224台となった。
中央日報によると、韓国は05年から11年間にわたり一度も完成車生産国順位で「トップ5」の座を明け渡したことはなかったが、昨年は422万8536台で6位となり、448万8965台のインドに追い越された。
今年上半期は状況がさらに悪化しており、7位のメキシコにいつ抜かれてもおかしくないというほどの惨状だ。
韓国内の専門家は競争力低下の原因として、日本車やドイツ車などと比べた「ブランド戦略の失敗」を挙げている。例えば、日本のマツダは「操作が便利」、ドイツのフォルクスワーゲンは「燃費が良い」といったブランドイメージが確立されているが、韓国車の強みとされたコスト面の優位性は中国車の台頭で失われつつあるとしている。
また、米国市場で人気のスポーツ用多目的車(SUV)やピックアップトラックなどのモデル拡充が出遅れたことなども専門家らは問題視している。
現代自にとっては、もはや悪い意味での“お家芸”ともいえる労使対立も頭の痛い問題だ。
現代自の労組は今月14日、組合員投票を行い、65.9%の賛成でストの実施を決めた。
労組は賃上げや最終利益の30%の成果給支給などを求めていたが、合意に至らず6日に交渉の決裂を宣言していた。起亜自の労組も18日にスト実施を決定している。
実際にストに突入することになれば、下半期の巻き返しに向けて大きな重荷となるのは確実だ。
そもそも現代自の1人当たりの平均年収はトヨタ自動車やフォルクスワーゲンなど海外メーカーより20%程度も高く、エコカーや自動運転など今後の自動車市場の勝敗を決する技術への研究開発投資を遅らせる要因になっているとの指摘もある。このままでは現代自の凋落は避けられず、韓国経済に甚大な打撃を与えかねない。 夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2017年8月1日火曜日
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