2017年8月3日木曜日

稲葉J、目玉はイチロー招集

2020年東京五輪で金メダルを狙う野球日本代表「侍ジャパン」の監督に、ヤクルト、日本ハムで通算2167安打を放った稲葉篤紀氏(44)が7月31日に就任した。稲葉氏は3月の第4回ワールドベースボールクラシック(WBC)では打撃コーチを務め、内部昇格の格好。過去に監督経験は無く、いまひとつインパクトに欠けるが、それを救うのが米大リーグ・マーリンズのイチロー外野手(43)の招集だ。知る人ぞ知る、稲葉監督とイチローの間には、この夢プランを実現させるのに十分な絆がある。早実・清宮幸太郎内野手(3年)の招集にも期待がかかるが、最大のメリットはイチローだ。(塚沢健太郎)

自国開催の五輪で金メダル獲得が至上命題の侍ジャパンは、日本代表監督として2009年第2回WBCを制した原辰徳氏(59)でも、04年アテネ五輪の銅メダル指揮官で前横浜DeNA監督の中畑清氏(63)でも、ヤクルト、楽天などを率いた名将で日本代表監督就任に意欲を燃やす野村克也氏(82)でもなく、監督経験のない稲葉氏に託された。
 
侍ジャパン強化委員会の井原敦委員長は選出理由として「求心力、短期決戦対応力、国際力、五輪対応力」の4点を挙げた。08年北京五輪、09年第2回、13年第3回WBCに選手として出場、第4回WBCでは打撃コーチを務めた稲葉監督の経験を買った。

とはいえ、有力とみられていた原氏や中畑氏と比べると、世間への発信力という点で弱い。

強力な援軍となるのがイチローだ。稲葉監督はこの日夜、コメンテーターを務めるテレビ朝日の「報道ステーション」に生出演。イチローに監督就任を報告し「『稲葉監督、楽しみにしています』と返事が返ってきて、『何でも相談に乗るので連絡ください』というのも来まして。非常にうれしかったですね」と明かした。

ちょうど1年前の夏。当時侍ジャパン打撃コーチだった稲葉監督は、第4回WBCへ向けて本紙記者に「(イチローを)ぜひ呼びたいですよ。来れば、宮崎合宿から盛り上がって、また(第2回WBCのときのように)大渋滞ができますよ」と熱弁を振るっていた。

実際その直後の昨年8月、小久保前監督は米シンシナティまで足を運びイチローと直接会談。結局侍復帰は実現しなかったが、稲葉ジャパンとなれば話は別だろう。

それほど、ふたりの絆は固い。ともに愛知出身で実家が近く、中学時代に同じバッティングセンターで練習していたのは有名な話だが、それだけではない。

2人は09年第2回WBCで共闘し、優勝に貢献。そして一昨年3月、稲葉監督がテレビ朝日のスタッフを仰天させる出来事があった。

マーリンズ移籍1年目のフロリダキャンプを訪問したが、テレ朝には常駐のイチロー番がいないため、アポを取っていなかった。スタッフは「せめてツーショット映像でも撮れれば」程度のつもりだったが、イチローは1歳上の稲葉監督の訪問に感激。なんと1時間40分もインタビューに応じた。

このとき、イチローは「稲葉さんって徳が高いじゃないですか。品性とか人格が備わっている人で(通算安打)2000本打ってる人って、王監督は別格・例外として、ほかにはあまりいないと思う」「僕のことは、結構好きな人もいてくれるけど、大嫌いな人もいっぱいいる。稲葉さんを嫌いな人は絶対いない。誰からも愛される稲葉さんは羨望の的です。このインタビューも、稲葉さんじゃなかったらやってないから」と稲葉監督の人柄を絶賛した。

イチローにとって稲葉監督は、手を携えて06年の第1回WBCを制した王貞治監督(現ソフトバンク球団会長)同様、特別な存在なのだ。

稲葉監督はこの日の「報道ステーション」で、米大リーガーの招集について「五輪にメジャーリーガーが出られるかどうかというのがわかりませんが、もちろん出るのであれば、メジャーで頑張っている選手に声をかけたい」と語った。

イチローが2020年時点で依然メジャーリーガーでいた場合でも可能性はあるが、盛んに取り沙汰されているように、あと1、2年のうちに古巣オリックスあたりに現役のまま復帰していれば、侍入りはさらに現実味を帯びる。

計り知れない重圧を受ける代表選手たちにとって、イチローがチームリーダーとして加われば、これほど頼もしい存在はないだろう。

これまで数々の偉業を成し遂げてきたイチローにとっても、東京五輪で金メダルを獲得できれば、野球人生の集大成を飾るにふさわしい。

監督は会見で早実・清宮についても聞かれ、「進路はわかりませんが、スピードに慣れるのが大事。今後見守り続けたい」と語った。清宮が高卒即プロ入りを選択するとしても、3年後に日本代表クラスにまでレベルアップしているかどうかは当てにできない。
 
現時点で“稲葉&イチロー”の強力タッグ結成以上に、金メダル獲りに近づくシナリオは考えられない。  夕刊フジより

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