2017年8月3日木曜日

米国、ベネズエラのマドゥーロ大統領に経済制裁

米政府は31日、ベネズエラのニコラス・マドゥーロ大統領が米国内に所有する全ての資産を凍結した。同大統領が内外の反対を押し切って制憲議会選挙を実施したことを受けた。
制裁の下、米国の企業や個人はマドゥーロ氏と取引することを禁止される。

制憲議会選挙は30日に大規模な反対デモが行われるなか実施され、少なくとも10人が死亡した。

マドゥーロ大統領は31日、テレビ放映された演説で「帝国による制裁は怖くない」と言い、選挙が「革命のための投票」だったと語った。「ドナルド・トランプ皇帝は私に反対する決断を下したが、そこからは彼の必死さと憎しみがうかがえる」。

「外国政府からの命令には従わないし、今後従うこともない。好きなように私を制裁すればいい。しかしベネズエラ国民は自由を決意しており、私は自由国家の独立した大統領だ」

ベネズエラで新たに発足した制憲議会は、憲法を改定したり、野党が多数占める国民議会を解散させたりする権限を持つことになる。

選挙をボイコットした連立野党は、有権者の88%が棄権したと話し、選挙自体を受け入れていない。選挙管理委員会によると、投票率は41.5%だった。

首都カラカスでは、抗議活動を行う人々が多くの道路を封鎖している。

投票日に殺された犠牲者を追悼する行進が31日に予定されていたが、制憲議会が招集される今月2日に延期されたもよう。

マドゥーロ政権を声高に批判しているベネズエラのルイサ・オルテガ司法長官は、今回の投票を「独裁的な野心」の現れだとしている。

米国はこれまで、選挙を認めないと警告しており、トランプ大統領は、実施されれば「強力で迅速な経済制裁」を科すと明言していた。

制裁を発表したスティーブン・ムニューチン米財務長官は、「きのう行われた違法な選挙は、マドゥーロ氏がベネズエラ国民の意思を顧みない独裁者だと確認するものだ」と述べた。

「マドゥーロ氏を制裁することで、米国はマドゥーロ政権の政策に反対し、自分たちの国を繁栄した完全なる民主国家に戻そうとするベネズエラの人々を支持することを明確に示す」

ムニューチン氏は、このような形でブラックリストに掲載された外国の指導者はマドゥーロ氏でわずか4人だとしている。

H.R.マクマスター大統領補佐官(国家安全保障問題担当)は、マドゥーロ大統領がシリアのバシャール・アル・アサド大統領や北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長、ジンバブエのロバート・ムガベ大統領を含む「エグゼクティブ・クラブ」に加わったと語った。

先月26日、マドゥーロ氏に選挙実施を思いとどまらせようとする米財務省は、ベネズエラの内相や軍のトップを含む現職と元高官ら13人に制裁を科した。

こうした制裁に対しマドゥーロ氏は、「米国の帝国主義者たちは一体自分たちが何者だと思っているのか?」と発言。「世界の政府だと思っているのか?」

同氏は制裁が「違法で傲慢(ごうまん)で前代未聞」だと主張した。

今回の選挙を受けて国際社会でも31日、激しい非難が広がっており、欧州連合(EU)は「ベネズエラの民主制に懸念」していると表明し、選挙結果は受け入れられないだろうと語った。

しかしながら、ロシア、キューバ、ニカラグア、ボリビアはマドゥーロ大統領を支持している。

低迷するベネズエラ経済のさらなる悪化で、3000万人のベネズエラ国民は生活必需品や医療品などの不足に苦しんでいる。

相次ぐ反政府運動で、死者数は4カ月間で120人以上に達している。

米政府はこれまでのところ、ベネズエラから米国への大量の石油輸出は制限していない。
ムニューチン財務長官は、石油の制裁措置が考慮されているか否かについては言明しなかったが、トランプ大統領が「ベネズエラの人々」をマドゥーロ政権以上に傷つけるような対策は取らないと決定した、と語った。

さらに、制憲議会の545議席に選出された議員らに向けて、議席を受け入れないよう呼びかけた。

ムニューチン財務長官は先週、「ベネズエラの民主的な過程や制度を傷つけた」として、選出された議員らも米国による制裁措置の対象となる可能性を警告していた。  
BBC Newsより

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