北朝鮮を訪れた韓国政府の特使団が発表した南北の合意内容は以下の通りだ。(1)4月末に板門店での南北首脳会談の開催、(2)南北による対話期間中の核・ミサイル実験凍結、(3)北朝鮮は朝鮮半島の非核化のための対話を米国と行う、(4)金正恩党委員長は4月からの米韓合同軍事演習を例年通りに行うことを理解する、(5)北朝鮮現体制の安全が保障されれば核を保有する理由がなくなる。
(3)について米トランプ大統領は、5月末までに正恩委員長と会うと発表した。しかし、非核化を巡っては1990年代から数多くの米朝合意が結ばれたが、すべて北朝鮮が破棄したという前科がある。
今回の南北合意では北の巧妙な前提条件が見え隠れする。「朝鮮半島の非核化」に言及しているものの自国の「非核化」には言及していないことだ。北の本意は対外的な脅威を取り除くこと、つまり最低でも在韓米軍の縮小、最大の望みは撤退だ。それが証拠に現実の動きも「非核化」とはかけ離れている。
「北が『体制の安全が保障された場合に非核化に応じる』と言っているのは、『わが国は絶対に非核化に応じない』という意味を別の表現で述べたにすぎません。しかも現体制が維持されるということは、国民が飢えに苦しみ、基本的人権が蹂躙され続けることを容認することにもなります。米国の北朝鮮分析サイト『38ノース』が3月5日に発表した衛星写真に基づく分析によると、寧辺の核施設にある黒鉛減速炉が稼働を続けている形跡があることが判明しています。ということは、核兵器製造用のプルトニウムの生産を再開した可能性があるのです」(北朝鮮ウオッチャー)
北朝鮮は制空権を米韓に握られており、米韓軍から自国を防衛する通常兵器も“博物館級”であることから、韓国軍の近代兵器体系には太刀打ちできない。
「正恩体制にとって核兵器こそが安価で唯一の自衛手段。それを安易に捨てることはないでしょう。北の狙いは“核クラブ”入りすること。さらに在韓米軍の撤退ですが、これは中露どころか韓国の文在寅左翼政権の悲願でもあります。またトランプ大統領でさえ『日韓は自分で守れ』という公約を掲げて当選したという経緯もあります。考えたくありませんが、将来、朝鮮半島に核武装した反日統一国家ができ、米軍のアジアにおけるプレゼンスが縮小されれば、日米安保に頼り切ってきた日本は窮地に立たされます」(軍事評論家)
ところで、このタイミングで北朝鮮が韓国との対話に乗り出したのはなぜか。
「最大の理由は、正恩委員長が正日総書記から引き継いだ“秘密資金”が枯渇したからでしょう。また、国際的な制裁によって、北朝鮮の輸出がほぼ全面的に止められたため“忠誠資金”も途絶え、朝鮮人民軍を掌握するためのプレゼント費用まで捻出できなくなったからです。そこで『カネなら日本に出させればいい』と、韓国の特使団が両国で日本にタカる“案”を耳打ちしたに違いありません」(前出・ウオッチャー)
現に韓国の李明博元大統領は、立候補時に《北朝鮮が核・ミサイルを放棄するなら日本から400億ドル出させる》と公約している。400億ドルの根拠になっているのは、2002年9月17日の小泉純一郎元総理訪朝時における『日朝平壌宣言』だ。
「北朝鮮側は、日本が植民地統治期間に収奪した金額とその利子として400億ドル(当時の為替レートで約4.8兆円)を要求しました。このベラボウな賠償請求に日本側も請求権があると反論し、北朝鮮に残した発電所や製鉄所、鉄道などの社会基盤を北朝鮮はずっと無料で使ってきたのだから、その費用を支払うべきだとしました。結局、国交正常化に伴って日本が支援するのは115億ドル、約1.4兆円で合意したのです。もっとも、この1.4兆円から北朝鮮系信用組合の破綻処理に投入した公的資金約1兆円を引けば、残りは4000億円になる計算ですが」(安全保障アナリスト)
それどころか、そもそも北朝鮮への戦後賠償は済んでいるという説もある。
「1965年に日本と韓国が戦前の関係を清算して、新たに外交関係を築くための日韓基本条約を結びましたが、その際、韓国は『どうせ統一されるのだから北朝鮮の分もくれ』と要求し、結局、無償3億ドル、長期低利の借款2億ドル、さらに3億ドル以上の民間借款提供で合意に至りました。当時の韓国の年間輸出額が4000万ドルほどですから、その20年分に相当する金額で、日本にとっても外貨準備高の半分近くを韓国の経済発展に注いだことになります」(国際ジャーナリスト)
この援助金が朴正煕元大統領による「漢江の奇跡」(飛躍的な経済発展)として実を結ぶわけだが、北朝鮮の分まで日本から取ったことは、韓国国民も北朝鮮も知らない。しかも、2005年1月17日付日経新聞の《植民地支配『韓国に個人補償義務』朴政権当時の文書公開》という記事によれば、「日韓基本条約以降の個人補償の義務は、すべて韓国政府が負うということが確認された」とある。つまり、韓国の「元従軍慰安婦」や「元徴用工」が日本政府相手に補償を求める裁判は条約違反なのだ。
とはいえ、韓国のタカリ体質が今さら改まるわけもない。仮に南北融和が進めば“タカリ国家”が二つもできることになる。日本はとんでもない隣国と国境を接することになるのだ。週刊実話より
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年3月21日水曜日
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