2011年9月2日金曜日

乱調 世界経済

萩原伸次郎「(横浜国立大学教授 (新聞報道より)」

米国経済が、景気後退期に入ったのが2007年12月です。翌年9月の大手投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産後、金融危機の深刻さとともに、景気は急速に落ち込みました。09年1月には1190万人が失業状態でした。1930年代に次ぐ大恐慌に次ぐ「第二の大恐慌と」への突入かと言われ、09年1月に発足したオバマ大統領に緊急な恐慌対策が求められました。

最大の景気対策

苦境に陥った大手金融機関への救済策は、ブッシュ前政権末期からとられてきましたが、オバマ政権の独自の恐慌対策は、就任後28日目に成立した「2009年米国復興および再投資法」にあるといえるでしょう。
特徴を一言で言えば、ブッシュ政権で嫌われた財政政策の復権が図られたことでした。推定7870億㌦にも上がる米国史上最大の景気対策といわれ、大胆な減税政策と財政支出による景気刺激策がとられました。
大きく言って、三つの原則がありました。第一には、財政による景気刺激策は2年にわたるべきであり、しかもこの政策は暫定的であり、永続的な政府規模の拡大を図るものではないということです。
第二に、刺激策は個人減税、インフラ整備など様々な幅広い財政出動であり、十分に多様でなければならないというものです。
第三は、緊急の財政支出は、長期的な長期的な必要性にも対処すべきであり、生産性と成長を高める永続性のあるし本当氏を目標と言うものでした。

成長は継続したか

復興法が、「第二の大恐慌」を何とか食い止め、09年7月以降、国内総生産(GDP)をプラス成長へと転じさせ、10年中を通じて、実質成長率ではほぼプラス成長を継続させた要因となった事は認めなければならないでしょう。しかし、大規模な減税と財政支出政策は、連邦財政に膨大な赤字の累積を作り出しました。
連邦財政赤字の上限額を決定するのは、連邦議会の仕事です。上限は14兆2900億㌦でしたが、引き上げが必要でした。出来なければ米国国債の債務不履行が発生し、金融危機を引き起こしかねません。
オバマ政権にとって不運だったのは、昨年の中間選挙で、共和党が下院を制し、歳出削減を唱えるティーパーティ(茶会)の運動の支持を受けた議員がかなりの勢力を占めていたことでした。引き上げ幅を少なくし、来年11月の大統領選で、再度の上限額引き上げ問題を引き起こし、それをオバマ攻撃に使おうというのが、共和党の狙いでした。

米国債の格下げ

結局、12年末までの政府借り入れを賄える2兆1000億㌦幅の引き上げで合意することとなりました。しかし、スタンダード・アンド・プアーズは、債務削減計画が格付けを維持するには不十分と見て、米国債の格下げを発表、ドル不信から、急速な円高、ドル安を醸成しています。

問題の先送りをしただけで、何の解決にもなっていないのが今回の上限引き上げです。来年になれば、今年と同じように、上限引き上げの問題が再燃します。米国経済が成長し、税収を増やさなければ、解決の糸口は見つからないでしょう。富裕層への増税や大儲けをしている石油関連企業への増税も視野に入れなければ、ならないでしょう。
共和党もなかなかしたたか政党です。上限問題を再度引き出し、それを大統領選挙の焦点にする、共和党もイラクやアフガニスタンの戦争を始めたさい戦費を増やした責任はないのでしょうか。

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