2018年11月3日土曜日

日韓関係は出口見えない「迷路」に、請求権協定覆した韓国最高裁判決

韓国の最高裁が第2次世界大戦中の徴用工に対する日本企業の賠償責任を認めた。1965年の日韓請求権協定で「解決済み」とされていたが、司法が覆した。韓国政府は「司法の判断を尊重する」と明言。日本政府は「あり得ない判決」と反発し、日韓関係は出口の見えない迷路に入り込んだ。

請求権協定の第2条1項には「日韓両国において国家はもちろん国民の財産、権利、請求権が完全かつ最終的に解決された」と明記している。日本政府は徴用工の個人請求権問題は請求権協定で解決済みとの立場だ。

韓国側も
盧武鉉政権当時の2005年、国交正常化交渉に関する外交文書を公表し、「強制徴用に基づく賠償問題は政治的に解決された」と表明した。文在寅大統領は当時、大統領府民政首席秘書官として、この決定に関与した。朴槿恵前政権時代の2016年11月には日本政府の立場を否定しない趣旨の意見書を裁判所に提出している。

最高裁判決を受け、韓国の李洛淵首相は「司法の判断を尊重する」と言明。「政府は韓日の両国関係を未来指向的に発展させていくことを希望する」とも付け加えた。外務省報道官は「判決が韓日関係に否定的な影響を及ぼさないよう、韓日両国の知恵を集める必要性を日本側に伝えている」と語るにとどまった。

これに対し、
安倍晋三首相は「請求求権協定で完全かつ最終的に解決しており、この判決は国際法に照らしてありえない判断。毅然(きぜん)として対応する」と強調した。河野太郎外相は李洙勲駐日韓国大使を呼び、「国際社会の常識では考えられない」などと抗議。聯合ニュースによると、駐日韓国大使が日本政府から呼び出されたのは、2012年8月に当時の李明博大統領が竹島(韓国名・独島)に上陸して以来約6年半ぶりという。

今後の見通しについて、聯合ニュースは「判決の趣旨に沿って政府の立場を変更して原則的に対応するのか、あるいは判決は尊重するものの外交レベルでは別の仲裁案を講じるのかが注目される」と報道。「現政権が前政権時代の
慰安婦合意を『誤った合意』と規定したことで韓日関係が極度に悪化した上、今回の判決が重ねての悪材料となり得るため、今後の対応はさらに重要になる」と伝え、「(判決は)韓日関係に想像もできない影響があるだろう」との外交関係者の声も紹介している。

朝鮮日報によると、韓国国内の裁判所で審理中の徴用に関する損害賠償請求訴訟は、今回の訴訟以外に14件。被告側には三菱重工業、日立造船、住石マテリアルズ(旧住友石炭工業)など日本企業87社が名を連ねる。今後、訴訟を起こす可能性がある人は遺族を含め約14万人に上る。50年以上にわたる日韓関係の土台にひび割れを生じさせた最高裁判決は、とんでもない「爆弾」にまで点火してしまった。レコードチャイナより

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