2018年11月29日木曜日

抗生物質に耐性を持つ細菌が国際宇宙ステーション(ISS)から発見される

抗生物質に耐性を持った細菌は「スーパーバグ」と呼ばれ、イギリス政府が「2050年にはスーパー細菌が3秒ごとに1人を殺すかもしれない」と発表するなど、その危険性が叫ばれています。そんな中、微少重力で二酸化炭素濃度が濃いという、地球とは全く異なった環境にある国際宇宙ステーション(ISS)で、抗生物質に耐性を持った細菌が発見されました。
NASAとジェット推進研究所(JPL)の科学者たちがISSのトイレとエクササイズエリアから発見したのはエンテロバクター属の菌株。エンテロバクターは免疫力の落ちた集中治療室の患者への感染が懸念されるもので、高い抗生物質耐性を持ちます。ISSで発見された菌株はヒト病原体ではありませんが、ISSにエンテロバクターが存在するということは、懸念すべきことだとのこと。

もちろん、人間はどうやっても細菌を運んでしまうものなので、宇宙船を細菌ゼロの完全にクリーンな状態にすることは不可能です。しかし、ほとんど重力がなく、宇宙放射線が存在し、二酸化炭素濃度が高い環境は、微生物の増殖にも影響を与えます。JPLの研究者は定期的にISSからサンプルを収集し、宇宙飛行士や設備に対して細菌が危険を及ぼしていないかを調べるため、細菌を解析していますが、耐抗生物質のエンテロバクターが発見されたのはこれが初めてです。

研究者によってゲノム解析が行われたところ、ISSで発見された5つのエンテロバクター株は、地球で最近になって発見された3つの株に類似していることがわかりました。この3つの株はエンテロバクター・ブガンデンシスに属するもので、新生児や免疫不全患者に感染したことがこれまでに報告されています。

サンプルが採集されたのは2015年のことで、エンテロバクターへの感染が報告された宇宙飛行士は、記事作成時点では存在しません。現段階では危機的状況ではありませんが、今後、危険な状況を引き起こす可能性は考えられます。

研究者が調査したところ、宇宙で見つかった菌株はセファゾリン、セフォキシチン、オキサシリン、ペニシリン、リファンピシンに耐性を持っていることがわかりました。現段階ではヒト病原体ではないと結論づけられていますが、コンピューターモデリングによると、菌株がヒト病原体になり病気を引き起こす可能性は79%とのこと。「病原体のISSにおける影響を見極めるには、さらなる生体実験が必要です。微少重力など宇宙に関連する要素が病原性、毒性に影響するかもしれません」と研究者は述べました。GIGAZINEより

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