対立は長引きそうだ。日産自動車前会長のカルロス・ゴーン容疑者(64)の逮捕を受けて、日産、仏ルノー、三菱自動車の3社連合のトップが協議に入る。資本構成を見直したい日産と維持したいルノーの溝は深く、「妥協は困難」との見方も。企業法務に詳しい弁護士で作家の牛島信氏は、日産のルノー株買い増しや、対抗するルノーの日産株公開買い付け(TOB)、さらにはホワイトナイト(白馬の騎士)の登場など激しいバトルに突入する可能性もあると指摘する。
アライアンス(3社連合)による協議は、統括会社があるオランダ・アムステルダムで日本時間の29日夜に開かれる見通しだ。日産の西川(さいかわ)広人社長(65)と三菱自の益子修最高経営責任者(CEO、69)はインターネット中継で参加するとみられ、ルノーからはティエリー・ボロレCEO代理(55)が出席予定だ。ゴーン容疑者不在のなか、今後の連合のあり方の見直しも議題に上りそうだ。
その際には資本構成が重要となるが、現時点でルノーは日産に対し43・4%を出資するのに対し、日産は15%しかルノー株を持っておらず、議決権もない状態だ。
ただ、日産とルノーの間には「改定アライアンス基本合意書(RAMA=ラマ)」という協定があり、ルノーは日産の合意がなければ日産の株を買い増せない。これに対し日産は、ルノーの筆頭株主であるフランス政府などから経営干渉を受けたと判断した場合、ルノーの合意がなくてもルノーの株を買い増せるという取り決めがある。
日産が出資比率を25%以上に引き上げる「切り札」を出せば、日本の会社法ではルノーの議決権が消えるが、仏政府を最大株主に持つルノーが容認する可能性は低いとみられる。
フランスのルメール経済・財務相は、3社連合の「力関係の変更を望まない」と述べ、日産側を牽制(けんせい)したが、それでも日産が買い増しに踏み切ることはあるのか。
牛島氏は「日産はすでに市場で25%を確保する自信を持っているのではないか。ほかにも貸株などの手も考えられる」と話す。
一方、日産がルノー株を25%取得する前に、仏政府やルノーが機先を制して対抗策に出る可能性も考えられるという。
「日産が株を取得できないような立法措置を仏政府がとることも否定できない。さらには、ルノーが日産に対するTOBを仕掛けて50%超まで買い増そうとすることも考えられる」と牛島氏。RAMAを無視してでも強硬手段に打って出るというわけだ。
ゴーン容疑者が日産、三菱自動車とのアライアンスを進めたことで世界ナンバー2の自動車グループとなったルノーだが、販売や利益、技術面でも日産に依存する。仏政府もマクロン大統領の経済政策への影響も懸念されるなど、フランスにとって日産とルノーの関係は単なる民間企業同士の争いでは済まない深刻さをはらんでいる。
このため、仮に日産がルノー株25%を取得した後でも、両社の対立図式は終わらない可能性もあるという。牛島氏は続ける。
「ルノーは日産寄りにする形で話をまとめようとするだろうが、日産は容易には受け入れないだろう。日産はルノーからの経営の独立性をどこまで盛り込めるか主張するのではないか。いずれにせよ妥協案は見いだしにくいだろう」
さらに事態を複雑にしかねないのが、日産、ルノーの対立に乗じて第三者がキープレーヤーとして登場し、両社いずれかの株を買収したり、転売したりすることだという。
牛島氏は「万が一、ホワイトナイトが日産株やルノー株を取得するようなことになれば事態はさらに混乱するだろう」と話す。株式市場を舞台にした戦争に突入するか。
夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年11月29日木曜日
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