中国メディアの新浪網は19日、「アルゼンチン空軍はプロペラ機をまだ使っている。梟龍を買うのをやめて中古戦闘機を購入」と題する論説を発表した。「梟龍(シャオロン)」は中国が輸出を念頭にパキスタンと共同開発したFC-1戦闘機の愛称。中国はアルゼンチンとの関係強化に努めてきただけに「恨み節」のようにも思える論調だ。
論説は冒頭で、「アルゼンチンの空軍について話す際、われわれは一種の『惜しいなあ』という感情を持つかもしれない」と論じた。さらにアルゼンチンはかつて南米における空軍国で、フォークランド紛争でも英国を苦戦させる力があったと紹介し、「平和期に少しずつ零落したとは言え、現在では制空能力をほぼ完全に失い、現役機にはプロペラ機をまだ残している!」と論じた。
論説はさらに「言葉もなくしてしまうのは、アルゼンチン空軍がプロペラ機時代に逆戻りすることを選び、中国の戦闘機を不要としたことだ」と主張。中国はこれまで、アルゼンチンに「梟龍」を売ろうとしたと紹介し、アルゼンチン側は相当に関心を示したが、交渉を始めると「残念なことにためらい、決めなかった」と論じた。
アルゼンチン空軍は結局、フランス製のシュペールエタンダールの中古機5機を購入することに決めた。記事は「フランス空軍でずいぶん前に退役した機で、フランス人にとってみれば在庫一掃の大処分。部品を含めてすべてアルゼンチンに売って処理することで、(シュペールエタンダールの)最後の価値を絞り出した」と論じた。
アルゼンチンはこれまでにシュペールエタンダール14機を購入している。1982年のフォークランド戦争でエグゾセ・ミサイルを発射して、英駆逐艦のシェフィールドを撃沈したのもシュペールエタンダールだった。
しかし論説は、「しかし長い年が経過した。アルゼンチンのシュペールエタンダールは基本的に寿命が来ており、全く維持できない状況だ」と説明。
記事はアルゼンチン空軍の主力機として、FMA IA 58 プカラの写真を紹介。同機はゲリラ対策のためにアルゼンチンが開発したターボプロップ機で、当初目的には十分な性能があった。ただし、フォークランド紛争に投入された際には、高度な性能を持つ英軍機には歯が立たなかった。また、ゲリラなども携帯対空ミサイルを持つようになったため、現在では対ゲリラ戦などでも時代遅れになったとされる。
論説は、アルゼンチン軍ではパイロットが自分よりも年老いた航空機に搭乗していると主張。フランスから購入予定のシュペールエタンダールは現代戦に対応するためにさまざまな改良が施されているが、たった5機では「どれだけの効果があるのだろう」と疑問を示した。
フォークランド紛争後、中国はアルゼンチンに急接近した。中国はアルゼンチン沖にあるフォークランド諸島を、本来ならばアルゼンチン領と見なし、同諸島を奪還しようとしたアルゼンチンの軍事作戦を「植民地主義に抵抗する行動」として評価。中国ではフォークランド諸島の名称について、アルゼンチン側名称の「マルビナス」を用いている。同問題では完全に「アルゼンチン支持」の立場だ。
最近では7月、通貨の下落などで混乱するアルゼンチンに通貨スワップ協定を持ち込んだり、アルゼンチン産牛肉の輸入制限を撤廃するなどで、やはり「並ならぬ好意」を示している。
中国がパキスタンと共同した「梟龍」は、パキスタン側は保有している米国のF-16の情報を提供し、技術面は中国側が負担したとされる。同機は輸出を念頭に開発されたが、これまでに実現したのはナイジェリアに3機を売却しただけだ。ミャンマーも16機を発注し、当初は2017年に引き渡しが始まると報じられたが、いまだに実現していない。「梟龍」の製造に支障があるとは考えにくく、ミャンマー側の事情や考えが原因と理解するのが自然だ。
中国は「梟龍」の輸出についてアルゼンチンを最有力候補のひとつと考えてきたとされる。それだけに、アルゼンチンが「梟龍」購入に踏み切らず、フランス製の中古機を購入しことが、残念で仕方ないようだ。レコードチャイナより
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