2018年9月26日水曜日

「中国発恐慌」リスクもトランプ政権、中国へ大量報復発動で消耗戦突入

中国の知的財産権侵害に対抗し、2000億ドル(約22兆5000億円)相当の中国からの輸入品に制裁第3弾を発動したトランプ米政権。残りの全ての輸入品も制裁対象とすると明言しているトランプ大統領は、11月の米中間選挙後も対中攻撃の手を緩める兆しはなく、消耗戦に突入する勢いだ。

貿易戦争が激化すれば習近平政権への打撃も甚大なものとなるが、「中国発恐慌」のリスクもはらむ。

「中国は多くの非常にひどい行為に関わっており、メキシコよりもはるかに取引するのが難しい」

24日、米CNBCテレビでこう述べたのは、トランプ政権のナバロ大統領補佐官(通商製造政策局長)。『米中もし戦わば』の著書でも知られる対中強硬派だ。

北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で米国はメキシコと2国間協議を行い、基本合意したが、中国との貿易戦争は長期化するとの見方を示したと受け止められた。

トランプ政権は中国の不公正な貿易慣行を問題視しており、ナバロ氏は「中国の考えは喜んで聞く」としながらも、「中国は米国が提起する問題をよく理解している」として是正を求めた。

こうしたなか、茂木敏充経済再生担当相とライトハイザー米通商代表がニューヨークで24日夕(同25日朝)に予定していた日米貿易協議が25日朝(同25日夜)に延期された。ライトハイザー氏が中国関連の対応に追われたことが原因とされ、対中戦略を最優先としていることがうかがえる。

当初は中間選挙に向けて有権者の支持を得ることがトランプ大統領の主目的とみられていた貿易戦争だが、政権内ではライトハイザー氏ら長期戦を覚悟する勢力が中心となっている。

王毅国務委員兼外相は24日、「保護主義や覇権主義に断固反対すべきだ」と米国側を牽制するなど、中国側はまるで自由貿易の旗手のような言いっぷりだが、実態はもちろん正反対だ。

トランプ政権は、中国当局が巨額な補助金でハイテク企業などを育成する習政権の政策「中国製造2025」を問題視するほか、対米輸出や米ハイテク企業の買収でも補助金が使われたり、サイバー攻撃や中国に進出した企業が技術移転を強要されるといった問題も指摘される。中国の知的財産権侵害は最大で年間5400億ドル(約60兆円)との見積もりもある。

米政権の中国締め上げは厳しさを増している。中国がロシア製武器取引に関与したとして、人民解放軍の資金運用を担う共産党中央軍事委員会装備発展部を制裁対象とし、米金融機関へのアクセスを禁止。中国側は米中軍事対話を延期した。

トランプ政権による対中攻撃は、消耗戦の様相となっており、米国側が浴びる返り血も少なくない。米政権は制裁第3弾で年内の追加関税率を10%に抑え、「アップルウォッチ」などを対象から外したものの、制裁関税による物価上昇は避けられず、米消費への悪影響が予想される。

1930年に米国で制定された「スムート・ホーリー法」の再来を懸念する向きもある。米国は当時、約2万品目の輸入品の関税を引き上げるなど保護主義的な政策を強めた結果、世界恐慌を悪化させた。

現状は米国経済は絶好調だが、世界経済の4割を占める米中の貿易戦争が後戻りできなくなった場合、待ち受けるのは大恐慌なのか。夕刊フジより

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