米中貿易戦争で、トランプ大統領は中国経済の息の根を止めようとしているのか。制裁関税第3弾の発動を正式に決めたが、中国側が報復すれば残りの全輸入品にも25%の追加関税を課すとあらためてぶち上げた。対中制裁に関しては有言実行のトランプ氏だけに、今回も脅しでは済むとは思えない。日本など外資系企業が生産拠点を移すなど「脱・中国」の動きは止まらず、習近平政権の地盤が大きく崩れつつある。
トランプ氏は中国にまたも先手を打った。2000億ドル(約22兆円)相当の中国からの輸入品に追加関税を課す制裁第3弾を24日に発動すると発表したばかりだが、中国がこれに報復した場合、中国からの残りの輸入品全てに25%の追加関税を課すと表明した。
中国政府は600億ドル相当の報復関税を発表したが、すっかり封じ込められた形だ。
「米国の農家や労働者らに対し報復が取られるなら、残りの分に課税を始めるだろう。税率は25%だ。したくはないが、他に選択肢がない」と述べるトランプ氏。「いつかの時点で取引するかもしれない」と中国との貿易協議にも期待を示すが、米国側から折れる気配は全くない。
中国側の打つ手は限られている。米国の中国からの輸入額は5000億ドル強にのぼるが、逆に中国の米国からの輸入額は約1300億ドルにとどまり、全ての米製品を報復対象にしても、金額面で同等の制裁を加えることは不可能だ。
このため中国は、米国内の産業のサプライチェーン(部品の調達・供給網)にとって不可欠な部品の輸出を制限することや、発動済みの追加関税の税率引き上げなどを検討しているもようだ。
習政権の対抗措置について「全くの愚策だ」と断じるのは中国問題に詳しい評論家の石平氏。
「習氏が選んだのは徹底抗戦だが、対中制裁第3弾を発表したのは日本時間の18日午前8時だったのに対し、夜になってやっと中国が報復を警告したのは動揺が大きかったのだろう。習氏の権威とメンツをかけるあまり、中国は勝ち目のない戦争に突入している」と解説する。
両国が正面から対抗し、関税が引き上げられる状況は、中国にとって自らの首を絞めることにつながっている。日本など外資系企業にとって、中国に生産拠点を置くメリットがなくなりつつあるのだ。
米国の対中追加関税第1弾と第2弾を受け、三菱電機は8月に、中国で生産し米国に輸出していた工作機械の生産を国内に移した。コマツは建設機械の部品生産の一部を中国から日本やメキシコに振り分けている。ダイキン工業は米国で製造する空調機の一部部品を中国から賄っているが、調達先の変更などを検討中だ。東芝機械も10月に自動車向け部品などを製造する射出成型機の生産の一部を上海工場からタイと国内の本社工場に移す計画だ。
ユニクロを展開するファーストリテイリングも、米国への供給をベトナムなど中国以外の拠点に切り替えることを検討している。
日本企業だけではない。ブルームバーグは、米国のファッション各社が中国の代替地としてカンボジアやベトナムなど東南アジアに生産拠点を広げていると指摘。米国ファッション産業協会の調査に参加した企業の67%が、今後2年で中国での生産量や生産額を減らすとの見通しを示したという。「次に買うブランド物のハンドバッグには『メイド・イン・チャイナ』のラベルは付いていないかもしれない」とも報じた。
前出の石平氏は「今回の制裁で衣料や家具など中国にとって重要な輸出産業が打撃を受ける。外国企業が中国から輸出するものにも高関税を課されるため、外国企業も撤退することになる。倒産や失業が拡大すれば暴動が多発、社会不安が拡大して内需も落ちることになりかねない」と述べ、貿易戦争が中国の経済だけでなく社会にも打撃を与えるとみる。
そして窮地の習政権は日本などに頼ってくると石平氏は指摘する。
「トランプ氏の罠にはまってしまった習氏は日本企業を頼ったり、ロシアと経済一体化を進めるなどの対策を取らざるを得ないだろう。いずれにせよ、中国経済は『終わりの始まり』を迎えた」夕刊フジより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
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