トランプ米政権が2020年までに「宇宙軍」の創設を目指すなど、宇宙空間をめぐる世界各国の覇権争いが激化している。一方、宇宙関連予算は米国と比べて十分の一にも満たない日本だが、傍観者ではない。文部科学省が平成31年度予算の概算要求で、まだ確立されていないロケットの破片などの「スペースデブリ(宇宙ごみ)」を除去する技術開発に着手する予算を求めるなど、技術力で世界に先んじようとしている。
トランプ米大統領は6月、米軍の「第6の組織」として「宇宙軍」を創設するよう国防総省に指示したと発表した。これに対し、中国やロシアのメディアは「宇宙の軍拡競争という“パンドラの箱”を開けた」、「1980年代の“スターウォーズ計画”の再来だ」などと論評し、警戒感をあらわにしている。
安倍晋三首相(64)も8月29日、年末の「防衛計画の大綱」見直しに向けて首相官邸で開いた有識者でつくる「安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合で「今やサイバーや宇宙空間など新たな領域で優位性を保つことが日本の防衛に死活的に重要だ」とし、国防における宇宙の重要性を強調している。
その中にあって、日本と海外各国との宇宙関係予算の規模の差は小さくない。平成28年度の日本の宇宙関連の予算は3423億円。米国は約14倍の444・44億ドル(約4兆8千億円)を計上し、ロシアも日本の2倍以上の80・37億ドル(約8700億円)と、両国に大きく水をあけられている。
米露には遠く及ばないが、日本の宇宙関係予算は増加傾向にある。日本の当初予算と補正予算を合わせた宇宙関連予算は、21年度が3084億円だった。一時減少することもあったが、30年度には3423億円まで伸びた。ただ、当初予算は過去10年間で21年度の3062億円が最高で、22~30年度は2740億~2955億円で推移し、補正予算で底上げしている形だ。
政府関係者は「補正予算はあるかどうか分からず、補正前提の予算編成はあまり健全ではない」と語る。また、27年に決定した「宇宙基本計画」で、宇宙関連産業を今後10年間で官民合わせて5兆円規模に拡大するとしたことを踏まえ「当初予算だけで最低でも3500億円くらい必要だ」と指摘する。
他国に比して宇宙関係の懐事情が厳しい日本だが、別の政府関係者は「差があるのは事実だが、日本がどうしようもない、ということでは必ずしもない」と現状を分析する。その理由について「勝てるところ、できるところに注力することが大切だ」と説明する。
その一例が、役割を終えた人工衛星やロケットの破片などの宇宙ごみを除去する技術の開発だ。宇宙ごみは人工衛星の安全運用などの障害となる可能性があり、除去技術は世界でまだ確立されていない。
宇宙ごみは年々増え続けており、今年5月時点で直径10センチ以上のデブリは約2万個あり、8月時点で1ミリ以上のものは1億個以上もあるとされる。特に地球観測衛星が多い低軌道に多く存在し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、「衝突すると衛星などの宇宙機に壊滅的な被害を与える」という。
自民党の小泉進次郎筆頭副幹事長(37)は8月3日、首相を官邸に訪ね、宇宙ごみの対策に関する提言書を手渡した。小泉氏が座長を務める自民党のワーキングチームがまとめたもので、JAXAが運用する衛星への接近を知らせる警報が1日360回を超えるなど、宇宙ごみが「安定的な宇宙利用の脅威となる」と指摘し、除去技術開発に向けた予算確保などを求めた。
小泉氏は「日本は世界で初めて除去を実証できる可能性がある。宇宙ごみ除去事業に必要な法制化などに政府で取り組んでほしい」と要請し、首相は「国際的な枠組みを作っていく必要がある」と応じた。
技術開発に向けて、文部科学省は31年度予算の概算要求で技術開発に着手する予算として6億円を求めている。日本が宇宙開発競争をリードするためにも、除去技術の確立を急ぐ考えだ。
JAXAが除去技術を開発する予定で、宇宙ごみに接近して状態を確認する技術や捕獲する技術、大気圏に落として燃やすために軌道を変える技術などを開発し、2020年代半ばまでに除去技術を確立することを目指す。
政府関係者は「日本が初めて技術を確立すれば、技術力という国の強さを示せる」と話す。世界的に開発競争が過熱している中、日本が世界に先んじて技術を確立できるかが今後、注目される。産経ニュースより
ぼちぼちと生きているので、焦らず、急がず、迷わず、自分の時計で生きていく、「ぼちぼち、やろか」というタイトルにしました。 記載事項は、個人の出来事や経験、本の感想、個人的に感じたことなど、また、インターネットや新聞等で気になるニュースなどからも引用させていただいています。判断は自己責任でお願いします。
2018年9月28日金曜日
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